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JUL 01, 2025 インタビュー

ク・ギョファン、最新作『脱走』でピアノを奏でる芸術肌の追跡者を怪演!「チームを信じて猪突猛進に演じた」

映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』やNetflixオリジナルドラマ「D.P. ―脱走兵追跡官―」などで知られる個性派俳優ク・ギョファンが脱北者を追跡する芸術肌の軍人を怪演した最新映画『脱走』(公開中)が大きな反響を呼んでいる。主演のイ・ジェフンが肉体を酷使している中、「汗ひとつかかずに追跡する役に気が引けた」と語るギョファンが本作の舞台裏を語った。

追跡者を演じたク・ギョファン

<Story> 軍事境界線を警備する北朝鮮部隊の軍曹ギュナム(イ・ジェフン)は、まもなく兵役を終えようとしていたが、真の自由を求め韓国への脱走を計画していた。ついに決行の日を迎えるが、部下の下級兵士ドンヒョク(ホン・サビン) に先を越されてしまい、失敗に終わってしまう。さらにギュナムの幼なじみで、保衛部少佐のヒョンサン(ク・ギョファン)の采配により、ドンヒョクを捕まえた英雄として祭り上げられてしまい、ギュナムを前線からピョンヤンへと異動させようとする。迫る脱走のタイムリミットは2日間。ギュナムは、ヒョンサンの目を盗んで再び決死の脱出を試みるが…。

●ク・ギョファン単独インタビュー

――本作への出演を決めた理由を教えてください。

ギョファン:いいシナリオを選ぶことはとても大切なことですが、それ以上に才能ある監督さん、俳優さんたちとご一緒することが、私にとって一番の決め手となります。今回、主演を務めたイ・ジェフンさん、そしてメガホンをとったイ・ジョンピル監督は、個人的にとてもリスペクトしている方々なので、ご一緒できたことをとても光栄に思っています。素晴らしいスタッフ、キャストが揃った中で、改めて私が演じるヒョンサンという人物に会ってみたくなりました。

イ・ジェフンと念願の共演

――時には親友のように、時には冷徹な軍人として、主人公ギュナムと揺れながらも対峙するヒョンサン少佐を見事に演じられていました。役作りのポイントを教えてください。

ギョファン:ヒョンサンという人物は、唇にリップクリームを塗ったり、頭にポマードをつけたり、かなり見た目にこだわっていましたよね。そこで私が得たヒントは、彼は非常に怖がりで臆病、恐怖や不安を隠すため、まるで鎧(よろい)を身につけるように“スタイル”に気を配る男であるということ。ポマードで固めた髪がだんだん崩れてきて前髪が落ちてきたり、手や服が汚れてきたりすると、気持ちがどんどん正直になっていく…。つまり、スタイルと気持ちがリンクしている人物であることを念頭に置きながら演じました。

スタイルにこだわる男ヒョンサンを怪演

――突き進む体育会系のギュナムと複雑な芸術肌のヒョンサン、対照的な闘いでしたね。

ギョファン:ギュナムは物理的な脱出に成功したので、誰の目から観てもハッピーエンドだと思いますが、ヒョンサンも苦悩する自分の「内面」からようやく脱出することができた、という意味ではハッピーエンドだったと思っています。

――ジェフンさんと共演した印象、俳優として受けた影響などありましたら教えてください。

ギョファン:演技に関しては私が言うまでもありませんが、すさまじい情熱を持って作品に取り組むあの姿勢は見習うべきものがありました。また、彼はとにかく映画が大好きで、映画館、劇場のこともすごく愛しているんですね。撮影の合間に、一緒にアート作品を上映するミニシアターを巡ったりしたんですが、映画や映画館のことを話す時の彼の目が本当に光り輝いているんです。あのイキイキとした表情を見た時、自分も好きなことを語る時に目が輝くようになりたいなと思いました。

凄まじい情熱で撮影に臨むジェフン

汗をかかない追跡者vs泥まみれの脱走者

――撮影で一番印象に残っている裏話があれば、1エピソードでいいのでお話いただけますか?

ギョファン:追跡者の役なのに、優雅にピアノなんか弾いたりして…こんなに汗をかかなくていいのだろうかと(苦笑)。ハードな撮影が続くジェフンさんに申し訳なくて、さすがに気が引けたのを覚えています。

――確かに(笑)。激走するギュナムとピアノを弾いてるヒョンサンのコントラストが凄く面白かったです。

ギョファン:裏話的なことで言えば、やはりピアノ演奏のシーンは、「どうすれば上手く観えるか」という点でとても苦労しましたね。

――ジョンピル監督は、ジェフンさんは堅実派、ギョファンさんは感覚派とおっしゃっていました。最後に俳優として演技に臨む際、最も大切にしていることを教えてください。

ギョファン:意外かもしれませんが、私は常に万全の準備をして現場に向かいます。ただ、失敗を恐れているのではなく、ちゃんと準備をした上で、ハッと驚くような“偶然”と出会いたい、とも思っているんです。そこがワクワクする部分でもありますから。そして、映画やドラマを撮ってくださるチームを信じること。私がどんな演技をしても、それを上手く切り取って、最終的に生かしてくださるわけですから。だから感覚的というよりも、皆さんを心の底から信じ切って猪突猛進!まっすぐに突破するような感覚で自由に演じている、と捉えていただいたほうがいいかもしれません。(取材・文:坂田正樹)

<Staff & Cast>  監督:イ・ジョンピル/出演:イ・ジェフン/ク・ギョファン/ホン・サビン/ソン・ガン/挿入歌「ヤンファ大橋」:Zion.T /2024 年/韓国/韓国語/カラー/94分/シネスコ/5.1ch/原題:탈주/字幕翻訳:朴澤蓉子/提供:ツイン、Hulu/配給:ツイン/公式HP:dassou-movie.com

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映画『脱走』は新宿ピカデリーほか全国公開中

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