<Introduction>
門真国際映画祭2021・審査員特別賞を獲得した映画『もうひとつのことば』は、前作『パラレルワールド・シアター』で劇場デビューを果たした監督・堤真矢が2020年のコロナ禍と東京オリンピックの延期を受け、本来構想していた物語を「今だからこそ描きたい、2020年夏の物語」として再構築したラブコメディー。日本語と英語、ふたつの言語が行き交う新鮮さと、ふたりの主人公の「嘘」と「本当」が逆転し、恋に変わっていく会話劇の面白さが観客を釘付けにする。
W主演を務めるのは、『あの日々の話』『四人姉妹』の菊池真琴と、『サク リファイス』『アポトーシス』の藤田晃輔。本作が初の劇場公開主演作となった二人は、二ヶ国語を自在に操る魅力的かつ等身大の演技を披露している。
<Story>
2020年夏、少し人通りの戻り始めた東京。カフェの一角で、ワンコインで気軽に英会話が楽しめる「ワンコイン英会話カフェ」に、とある男女が参加する。 仕事や経歴など噓をついて会話に参加し、ささやかな承認欲求を満たす女性、ミキと、アメリカでの活動を志すも渡航を制限されている俳優の青年、健二。 二人は意気投合し、共に「別人になりきって英会話カフェに参加するゲーム」に興じるようになる。 そのゲームのルールは二つ。「お互いの人生に立ち入らない」こと、そして「日本語では嘘をつかない」こと…。
<応援メッセージ>
たとえ刹那的な思い出であれ、ときめきがあれば永遠に美しく残りつづけるのではないか。逆に、誰もが羨む絵に描いたような人生でも、ときめきがなければ充足感は得られないのかもしれない。この男女が見ている東京は、美しさと愛おしさで溢れていた。映画の終盤には、まるで花火大会がクライマックスを迎えた時のような高揚感ともの哀しさが、心のなかで入り混じる。まだ終わらないでくれ。ふたりの行く末をもっと見守っていたい。そう祈ってしまうほどに、このふたりに釘付けになった。 ──豊満亮(俳優)
あなたが家を出るときに、映画みたいな出来事が起きたら良いと思っても、きっと起こったことはない(はず)でしょう。ところがもし、私たちに映画が優しく歩み寄り、その足音が聞こえたら、私たちは映画に、そして映画は私たちの日常に、もっと恋をするでしょう。この映画から、そんな福音が聴こえて幸せでした。たとえそれが恋のように勘違いだとしても、です。 ──河内彰(映画監督)
堤真矢監督は、終わらないパンデミックから、私たちを助け出してくれる。ウソと英会話が盛りだくさんの、チャーミングなラブコメで!? ──セレナ・ドゥ(サンディエゴ・アジアン映画祭プログラマー)
「英会話カフェで虚構の人物を演じて話す」という設定がまず面白い。 観終わった後は、(とにかくこういう楽しいことしたい。。。)という気持ちでいっぱいになった。「お互いの人生に立ち入らない」「日本語では嘘をつかない」この2つのルールが、恋愛モノとしてのドキドキ感を高めるギミックとして活きています。ラストシーンの軽妙でハートフルなまとめ方には拍手を贈りたい。 ──TAMA映画フォーラム(TAMA NEW WAVE実行委員会)
はにかみや視線、タテマエ、皮肉や虚栄、声の音。言葉のままのコトバって実は半分くらいしかないんじゃないかと思えてもくる。上手に嘘を言うための、本当を上手に包むための「仮面」を使い分けて誰かの中での“真実”が育っていく。やっぱり素顔で人と向き合える瞬間は尊いな。2度観て欲しい映画です。 ──根矢涼香(俳優)
僕たちは言葉を信じることが出来ない。〈好き〉は〈好きじゃない〉とくっついているし、〈良いね〉は〈良くない〉とくっついている。僕たちは「本当?」と相手に聞く。相手は「うん。本当だよ」と答える。もう何も信らじれない。だから、この映画は「これから言うことは嘘だからね」と前置きをつける。実際、スクリーンに映るのは絵はがきのような「TOKYO」だ。ここには「TOKYO」のリアリティーなんか一つもない。しかし、これが「本当のこと」を伝える唯一の手段なのだ。 ──大塚信一(映画監督)
ウィットに富んだ会話に身をゆだね、一緒に街を歩いているうちにコロナ禍で疲れた心が少しづつほぐれていくのを感じました。ステキな映画をありがとうございました。 ──中村公彦(映画監督・脚本)
観たら優しい気持ちになれる映画。大好物です!ワンコイン英会話で出会った男女の嘘と秘密の共有。脚本や構成に伱がなく、とてもよく出来ていて唸りました。現代の恋愛ドラマなのに、なんだか「昭和」の匂いがするのは何故だろう?主演の二人とツアーガイドのあの人、キャラクターが昭和っぽい?? ──長谷川朋史(映画監督)
撮影、俳優の演出(ムードの作り方)も素晴らしいのだが、なにより脚本がもう完璧に近いんじゃないかっていう。その緻密さ。え、40~50年代のハリウッドで活躍されてました?みたいな。49分の映画に80分の映画の充実感がつめこまれている。恐るべし。 ──野呂悠輔(映画監督)
英語から日本語へ、嘘から真実へ、そしてまたその逆を、と華麗にコードスイッチングする主演二人の男女から目が離せない。さらに英語が上手すぎる絶妙なキャラのツアーガイド、彼のしゃべりは間違いなく必見の価値あり。「日本一ステキなカップル」が東京の魅力をたっぷりお届けする。 ──大島希巳江(社会言語学者)
とにかく全編がキュート。コロナ以後の東京の姿やコミュニケーションの様子が、そのままリアルに、哀愁がありつつも可愛らしく少しおかしく映し出されていて、こういうのがいつか「思い出」になるのかな、なればいいな、という気持ちで観ていました。使う言語が変わると人格が変わる、なんてよく言われる話ですが、この2人のウソやホントはどこからどう生まれたものか?、その不思議にも着目してみると更に面白い映画に感じられるかもしれません。 ──亀山睦実(映画監督)
ぼくたちは言葉に怯えている。ぼくたちは言葉に救われている。自分を救うため、相手と分かり合えるためについた嘘について、そのコトバの優しさについて考えることを、この映画は教えてくれました。 ──石田清志郎(映画監督)
誰かと喋りたい。それは、息をしたい、に似ていると思う。彼らにとってもきっと、喋れるならなんでもよかった…はずだったのに、自分と似た相手と出会ってしまったら、そうはいかない。外し難いマスクを乾杯するために外したら、嘘が本当になってしまったら、誰でもよかった相手が、誰でもよくはなくなる。気づけば相手に伝えたい“ことば”を探し始めている…。コロナ禍で身に沁みた寂しさが蘇ってきて、彼らの誰もが「私」だと思った。特にボブ。長い長い挨拶に、泣かされた。何に乾杯する?ボブ! ──淺雄望(映画監督)
<Staff&Cast>
キャスト:菊池真琴、藤田晃輔、中山利一、連下浩隆、新井敬太 山田良介、澤麻衣子、小高えいぎ、前田薫平、藤岡有沙、風さり、伊藤梢、高草木淳一、水野大絆、佐々木しほ、Antonio Angelov、Ellen Reiter / 監督・脚本・編集:堤真矢 / 撮影:湯越慶太 / 撮影助手:角洋介 / 照明:竹本勝幸 / 録音:磯辺康広、細川武士 / 音楽:川尻大輔 / 助監督:松岡寛、加藤允哉 / ヘアメイク:河本花葉 / 衣装:mican / 制作:竹本美香 / 翻訳協力:関谷夢歩、かまくらあや / 宣伝:河合のび、滝澤令央(Cinemarche) 宣伝美術:moca /企画・製作・配給:Tick Tack Movie 配給協力:Cinemago 2021年/日本/49分/DCP/カラー/16:9
日本劇場公開:2022年7月22日(金)~28(水)まで池袋HUMAXシネマズでの劇場公開
Twitter:https://twitter.com/Mkotoba_movie
(C)2021 Tick Tack Movie
(提供:バックヤード・コム 坂田正樹)