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APR 14, 2022 インタビュー

争いよりも愛の修復を!デイビッド・イェーツ監督が『ファンタビ』最新作に込めた思い

インタビューに答えるデイビッド・イェーツ監督
インタビューに答えるデイビッド・イェーツ監督

大ヒット公開中の映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』でメガホンをとったデイビッド・イェーツ監督がリモートインタビューに応じ、原作者J・K・ローリングとの関係性や作品に込めた熱い思いを真摯に語った。イェーツ監督といえば、『ハリー・ポッター』シリーズ後半4作、そして本作を含めた『ファンタスティック・ビースト』(以下、ファンタビ)シリーズ全作を手掛け、合計7作品で監督を務めてきた大黒柱。その言葉一つひとつに愛が満ち溢れていた。

魔法ワールド全開の本作では、人間界の支配を企む黒い魔法使いグリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)に立ち向かうため、史上最強の魔法使いダンブルドア(ジュード・ロウ)に呼ばれた魔法動物学者ニュート(エディ・レッドメイン)が寄せ集めの凸凹チームを結成。壮絶な戦いが繰り広げられるが、その一方で、ダンブルドアの隠された秘密が遂に解き明かされる。

●地球のあらゆる場所が魔法ワールドになる!

今回の舞台は文字通り、世界。「雪の舞うベルリンからブータンの美しい山岳地帯まで案内しますよ」と笑顔を見せるイェーツ監督。前2作に続き、本作も原作者J・K・ローリングがプロデューサー、脚本家として参加しているが、「彼女が魔法界のスケールを広げてくれたおかげで、観客の皆さんを地球のあらゆる場所に連れて行ける」とそのダイナミックな発想力に脱帽する。「今回は、『ハリー・ポッター』シリーズのほとんどの作品で脚本を手掛けたスティーヴ・クローヴスがサポートとして参加し、よりブラッシュアップされたものになっているが、スクリーンに映し出される驚くようなアイデアは、ほとんどジョー(ローリング)から生まれたもの。彼女はもはや、原作者にとどまらず、私たち映画チームにとっても欠かすことのできない頼みの綱のような存在なんだ」。

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』場面写真

映像化する際、「時として物語の隙間を埋めるために過度な補填をしてしまうことがある」というイェーツ監督。そんな時、ローリングは「的確なアドバイスで迷路に入ってしまった我々を軌道修正し、観客に伝えておくべき情報を上手に要約してくれる」と感服する。「観客の皆さんに、今、どの時点を描いているのか、思い出してもらうことが物語を組み立てていく中で最も難しく、しかもそれをエンタテインメントとして楽しく演出しなければならない。特に本作は、背景としていろんな物語が交錯する中で、観客の皆さんがいかにストレスを感じることなくスムーズに物語に没入することができるか…そこは我々にとって大きなチャレンジだったね」。

●闘うことではなく、許し合うこと

映画『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)から数えて、シリーズも約20年の時を刻んだ。その間、現実世界ではさまざまな出来事や変化が起きているが、時勢が作品に及ぼす影響についてイェーツ監督はどう捉えているのか。ダンブルドアとグリンデルバルドの困難なロマンスも物語として大きな話題になっているが、本作は、あくまでもボタンの掛け違いによって引き裂かれた愛と友情の行方を描いたもので、普遍的なテーマだと強調する。「ジョーがこの物語に込めたメッセージは、世代を超えていくもの。ある特別なテーマに向けたものではなく、ただ純粋に愛を賛美することなんだ」。

さらにイェーツ監督は、本作の“肝”となる二人の引き裂かれていた愛について熱弁を振るう。「私たちが最も注力したのは、闘うことではなく、二人が元に戻ることができるのか、という点。衝突の原因が何であれ、愛は引き裂かれたままでいるものなのか、という問いかけこそがこの作品の大切なメッセージなんだ。相手の心の壁の向こう側まで手を伸ばすことができるのか、その手で相手の本心に触れることができるのか…。一度、敵対した相手を悪魔のように見続けるのではなく、もう一度、お互いを理解し合い、愛と友情を取り戻すこと。これはどの時代においても大切なことなんだ」。

時代に合ったホットな話題だから、「物語に持ち込もう」という浅はかな考えは、このシリーズに関しては一切ないとキッパリと言い切るイェーツ監督。それはあくまでも「時代を超えて克服しなければならない普遍的なテーマ」だと語気を強める。「図らずも、世界ではとても恐ろしいことが起きているが、これは今に始まったことではない。何度も何度も経験し、傷ついているにもかかわらず、人間はそこから何も学んでいない。怒りや誤解でその関係が引き裂かれても、愛と友情を修復し、賛美する心を忘れたくない…この作品からそういう思いを受け取っていただけたら嬉しいね」(取材・文:坂田正樹)

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■監督:デイビッド・イェーツ(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズ後半4作品)■脚本:J.K.ローリング(「ハリー・ポッター」シリーズ著者)、スティーブ・クローブス ■プロデューサー:デイビッド・ヘイマン(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、「ハリー・ポッター」全8作品)■出演︓エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、エズラ・ミラー、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、カラム・ターナー、ジェシカ・ウィリアムズ、キャサリン・ウォーターストン、マッツ・ミケルセン 他 ■配給:ワーナー・ブラザース映画

映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は大ヒット公開中

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