Snow Manの佐久間大介が心優しき伝説の元殺し屋を熱演する映画初単独主演作『スペシャルズ』が3月6日(金)より全国公開される。メガホンを執るのは、『ミッドナイトスワン』『ナイトフラワー』など “真夜中シリーズ”で高い評価を獲得した内田英治監督。そして、クセ者揃いの殺し屋たちを一つに束ね、敵将暗殺のためにダンス大会を目指す?!熊城役に名優・椎名桔平を抜擢。ダンス初挑戦について、「ムチャぶりだったけど楽しかった」と笑顔で語る椎名と、「申し訳なかったけど面白かった」とご満悦の内田監督に、本作制作の舞台裏についてたっぷりと話を聞いた。

<Story> 風間組の指令により、裏社会のトップ・本条会の親分が必ず訪れる孫のダンス大会に狙いを定め、チームを組んで大会出場とともに暗殺計画を企てる。選ばれたのは、普段は児童養護施設で働く伝説の元殺し屋・ダイヤ(佐久間)、本計画のために殺し屋たちを引き合わせた張本⼈であり風間組NO.2の熊城(椎名)、群れを嫌うクールな殺し屋・桐生(中本悠太(NCT))、人情派だが頭に血が上りやすい殺し屋・シン(青柳翔)、そして熊城とは兄弟分のような仲だった元武闘派・村雨(小沢仁志)の5人。早速ダンス教室に通い始めるが、どこへ行っても問題を起こして破門になるため、仕方なくダイヤが勤める児童養護施設のダンス少女・明香が救いの手を差し伸べる。最初は歪み合っていた殺し屋たちも次第にダンスの魅力に目覚めていくが…。

◆椎名桔平&内田英治監督2ショットインタビュー
◉正直、台本を渡された時に戸惑った(椎名)
――椎名さんは内田組初参加となりますが、本作に出演する前、内田監督作品に対してどんな印象をお持ちでしたか?
椎名:『ミッドナイトスワン』などの作品を拝見して、僕の好きなタイプの映画というか、人間を深くえぐる内田監督の独特な世界観にとても魅力を感じていましたし、強い刺激も受けていました。そして今回、ありがたいことにオファーをいただいたんですが、台本を受け取って読んでみると、「あれ?全然違うんだけど」…って(笑)。
――イメージしていた物語ではなかった?
椎名:エンタテインメント作品を作りたいというお話は聞いていたんですが、殺し屋たちが集まって、ダンスの大会に出場?そして敵の親分を暗殺する?…果たしてそんな話が成立するのかと最初は戸惑いました。ところが、そこは経験豊富な内田監督、それぞれの人生を背負った5人のキャラクターを活かしながら、ダンスの練習を通して次第にチームとして一つにまとまっていく過程を実に巧妙に描き、われわれ俳優陣をうまく誘導してくれたところはさすがだなと思いました。

――昨年、別作品で内田監督をインタビューした際、「真夜中シリーズに情熱を注ぎすぎたので、これからは “ザッツ・エンタテインンメイト”に力を入れていきたい」とおっしゃっていました。『スペシャルズ』で早くも具現化されたわけですが、人生の苦境に立たされている人物が奮闘する姿は、コメディーとはいえ、やはり内田ワールド全開だったと思います。
内田監督:特に内田ワールドを作ろうという意識はなかったので、たぶん無意識だと思いますが、やはりアンダードッグの話が好きなので、負け犬と呼ばれた人たちがどんどん輝いていくというストーリーで何かやりたいなと思っていたのは確かです。そこは共通しているかもしれませんね。
◉憧れの椎名桔平がついに踊っちゃうんだ(内田監督)
――ダンス・スキルのある佐久間さんが主演なのはわかるのですが、本作のキーパーソンである風間組NO.2の熊城役に椎名さんを指名したのはなぜですか?
内田監督:殺し屋が暗殺のためにダンス大会に出る?というハチャメチャな題材なので、逆にコメディー俳優ではなく、桔平さんみたいにシリアスな演技のできる役者さんと組む方が面白い作品になると思いました。個人的に石井隆監督の『ヌードの夜』(93)という映画が大好きで、そこにキャリア初期の桔平さんがキレッキレで出てくるんですが、あの狂犬のような男がダンスを踊ったら面白いだろうなと自分の中で盛り上がってしまって(笑)。物凄くお忙しい時期にオファーを出したので、最初は「ちょっと難しいかも」という話だったのですが、なんとか出演していただけることになって本当に嬉しかったです。「憧れの椎名桔平がついに踊っちゃうんだ」…一人の映画オタクとしてたまらない気持ちになりました。
椎名:きっと、亡き石井隆監督も喜んでくれていると思います。

――『ヌードの夜』や『アウトレイジ』(10)などの作品を観る限り、椎名さんにとって殺し屋役は真骨頂のように思えるのですが、今回はまさかのコメディードラマ。ダンスやコミカルな要素が絡んでくるだけに難しかったと思います。そのあたりはいかがですか?
椎名:これまで医者や刑事などいろんな職業を演じているんですが、ヤクザ、殺し屋といったコワモテの役が、皆さんにとってとても印象が強いみたいなんですよね。だから自分の中では、任侠の世界を演じるのはあまり乗り気じゃなかったんですが、今回は殺し屋の暗殺計画というカタチをとりながら、ダンスという全く別の世界に移っていくという異色のストーリーだったのでお受けすることにしました。この歳で一からいろいろ教わって、いろいろチャレンジしなければならないことって、もうあまりないですからね。実際、演じてみて、非常に新鮮でしたし、やりがいもありました。
◉ムチャぶりだけど今では楽しい思い出(椎名)
――ダンスの練習はどれくらいやられたんですか?
椎名:1ヶ月ぐらいですかね。佐久間くんと中本くんは日頃からダンスをやっているので、すぐにマスターできるのですが、僕と青柳くんと小沢さんの3人は初めての経験だったので、先生に付きっきりで教えていただいて。それぞれ「次回までにマスターしてきてください」と宿題も出されたりして、家でも猛練習です。学生に戻った気分でしたね。まぁ、しんどくもあり、楽しくもあり、まさに悪戦苦闘の日々でした。でも、内田監督、稽古場にほとんど来なかったよね?俺たちの上達ぶりをその都度、見せたかったのに…。
――そうなんですね。内田監督の目には、椎名さんたちの頑張り、そして仕上がり具合はどのように映っていたんでしょうか。
内田監督:皆さん、泣きそうなくらい苦労されていたので、逆に行かないほうがいいかなと思って…。『ナイトフラワー』(の森田望智さん)の時もそうでしたが、格闘技をやってほしいとか、今回のようにダンスを踊ってほしいとか、役者さんの苦労をあまり考えずにリクエストしていたんですが、そこは反省というか、ちょっと申し訳なかったなと。

椎名:本当にムチャぶり(笑)。例えば、ダンスの武者修行に出るシーンがあって、小沢さんは盆踊り、青柳くんはフォークダンス、僕は80年代アイドルの振り付けと、それぞれがむかし得意だったという踊りをエキストラの皆さんの前で発表するんですが、まぁ恥ずかしくて。覚悟を決めてやるしかないんですが、そういうところから、もうムチャぶりなんです。でも、今振り返ってみると、不思議と楽しい思い出になっているんですよね。観客の皆さんも、「まさかこの人が!」みたいなギャップを楽しんでいただけると思うので、挑戦してよかったです。
◉俳優・佐久間大介の成長過程を見守りたい(内田監督)
――椎名さんはもとより、主演の佐久間さん、中本さん、青柳さん、小沢さんと、『スペシャルズ』の面々のキャスティング理由を教えてください。特に佐久間さんは内田組の常連と言ってもいい存在です。
内田監督:とにかくデコボコにしたかったんですね。いわゆるテレビドラマのようなイメージし得るデコボコじゃなくて“ガチ”のデコボコ。一歩間違ったらバラバラな映画になってしまうかも…それくらい普段なら絶対混ざらないであろう方たちに共演していただきたいなと思って、この5人にお声がけさせていただきました。ただ、ダンス練習の初日、皆さん、初対面で想像以上にギクシャクしていたので一瞬焦りました。一抹の不安を抱えながら撮影に入ったんですが、これが意外や意外、映画の物語と同じ流れというか、役者さん同士、徐々に心が一つに溶け合って、疑似家族みたいなものを作っていく過程を見ていてホッとしました。
椎名:役者同士のリアリティショーみたいなものですよね。

――座長を務めた佐久間さんはいかがでしたか?
椎名:今をときめくSnow Manですからね、ダンスに関してはどれだけがんばっても追いつけないし、座長としても本当に素晴らしかったです。「主役だからこうあるべきだ」とか気負った考えはなかったと思いますが、普通だったら言葉にするのはちょっと恥ずかしいなと思うことも、彼は忌憚(きたん)なく言葉にできる才能がある。しかも、じっくり考えた言葉なのに、スピード感と説得力があるわけですよ。これは相手にとっては非常にありがたいことだと思いますが、並外れた集中力と頭の回転の速さがないとできないこと。たぶん、厳しいエンタテインメントの世界で日々鍛えられた賜物なんじゃないでしょうか。


――内田監督はいかがでしたか?佐久間さんとは3度目のタッグで、次作も決まっていますが。
内田監督:僕は役者さんの演技というよりも、その役者さん個人の人柄みたいなものがすごく好きですし、そういうものを映画に反映させたいと思っています。桔平さんなら桔平さんの、佐久間くんなら佐久間くんの魅力があると思うので、僕が好む魅力を生かしていきたいなと思っていたのですが、特に佐久間くんは、(本格的な実写映像作品においての)彼の初演技(『マッチング』(24)で映画初単独出演)に立ち合っているという部分と、彼が演技を覚えていく成長過程を見たいという気持ちもあり、ぜひ今回もご一緒したいという思いがありました。

◉平成・昭和と今の時代が見事に融合(内田監督)
――最後にメッセージをいただきたいのですが、それぞれが特にこだわった部分、俳優同士のエピソードを交えながらまとめていただけると嬉しいです。
椎名:僕を含めた『スペシャルズ』の面々は、年齢も、普段の活動も、本当にバラバラで、佐久間くんはSnow Manのメンバーとして活躍しているし、中本くんは韓国を中心に海外でがんばっているし、青柳くんは音楽、ダンスがメインのLDHで覚悟を持って俳優をやり続けている。小沢さんは小沢さんで今まで培ってきた“強いキャラ”を持っているし、僕は僕でまた違った個性を持っているわけですが、そういったファン層が全く違う人たちがゴチャ混ぜに集まっているので、いろんな人に感情移入していただける作品になっていると思います。そしてそれだけ間口が広い中で、荒唐無稽ともいえる物語の展開をしっかりまとめ上げる内田監督の手腕はさすがだと思いましたね。なぜ殺し屋たちは、クライマックスのダンス大会にこれだけ真剣に挑もうとしていたのか…観終わった後、いろいろ心に訴えかけてくるリアリティーがあると思うので、そういうところも楽しんでいただければと思います。

内田監督:僕の狙いとしては、平成・昭和の時代に人気を博したものと、佐久間くんや中本くんが人気を博している今の時代がミックスするとどういう化学反応が起きるのかを観たい気持ちが凄く強かったんですが、見事に融合できたなと。それは、役者さんそれぞれの人柄も影響していると思うので、その部分もぜひ観ていただけると嬉しいです。
椎名:どこにもないチーム感というか、佐久間くんが小沢さんの息子でもおかしくないわけですよね。だから、おじさん世代には、この映画を観て、「俺たちもまだまだやれるんだ」っていう勇気を持ってもらいたいですよね。
取材・文・写真:坂田正樹
<Staff & Cast> 原案・脚本・監督:内田英治/出演:佐久間大介(Snow Man)、椎名桔平、中本悠太(NCT)、青柳翔、小沢仁志、羽楽、前田亜季、平川結月/矢島健一、六平直政、石橋蓮司/振付:akane/音楽:小林洋平/主題歌:Snow Man「オドロウゼ!」(MENT RECORDING)/制作幹事:HIAN/配給:エイベックス・フィルムレーベルズ/公式サイト:https://eiga-specials.com/

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