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JUN 07, 2024 インタビュー

バスケ男子日本代表ワールドカップの舞台裏に迫るドキュメンタリー公開!大西雄一監督の胸に刺さったフィンランド戦の男泣き

昨年、フィリピン・日本(沖縄)・インドネシア共催の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」(2023.8/25~9/10)でパリ五輪出場を決めたバスケットボール男子日本代表の激闘を振る返るドキュメンタリー映画『BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち』が、6月7日(金)より4週間限定で全国公開された。この夏、パリでの“AKATSUKI JAPAN(=日本代表チーム)”の熱い戦いが期待される中、メガホンを執った大西雄一監督に、本作の見どころ、そして試合さながらにヒートアップした制作の舞台裏について話を聞いた。

歓喜に沸くロッカールーム

<Introduction> 国内映画興行収入が158億円を突破した『THE FIRST SLAM DUNK』(以下、スラダン)の歴史的大ヒットが記憶に新しい中、バスケ人気もこれまでにないほど高まっている。全国各地で開催されている男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の試合会場には、老若男女問わず多くのファンが詰めかけ、今や国内の人気スポーツで上位に位置するほどだ。その大きな立役者となったのが、AKATSUKI JAPAN。ワールドカップで魅せたあの感動と熱狂をもう一度呼び覚ます、バスケ日本代表初のドキュメンタリー映画がここに誕生した。

【BELIEVE=ビリーブ】をチームスローガンに躍進!

(公財)日本バスケットボール協会(以下、JBA)の監修・協力のもと、手に汗握る白熱の試合映像に加え、トム・ホーバスHCや代表選手のインタビューを新たに収録。激闘を振り返りながら知られざる思いが語られていく。さらに日本のバスケットボール界を牽引してきた佐古賢一、田臥勇太のレジェンドへもインタビューを敢行し、ワールドカップ、そして日本代表を独自の視点で振り返る。苦悩する姿、ロッカールームの檄、日本バスケにかける想い…密着カメラだからこそ捉えることができた貴重な映像の数々は、バスケファンならずとも必見。

◆大西雄一監督インタビュー

●フィンランド戦の歴史的勝利をクライマックスにしたかった

ーー監督として大西さんが関わることになった経緯を教えていただけますか?バスケットボールの経験があったのでしょうか?

大西監督:バスケットボールは全くの未経験、ワールドカップの熱い戦いをテレビで観戦していた自分が、まさかこんな形で関わることになるとは思ってもいなかったです。スラダン世代なので、バスケの知識は、30年くらい前にアニメを通じて知った情報が全て。だから、監督のオファーを受けた後から、24秒ルールやトラベリングのゼロステップなど新しくなっていたルールのアップデート、AKATSUKI JAPANに選ばれた12人の選手のプロフィール、さらには日本のバスケの歴史などを猛勉強しました。もちろん、今回のワールドカップを何度も見直しました。

ーーパリ五輪出場を決めるという劇的展開となりましたが、スポーツという筋書きのないドラマ、特に今回のような奇跡的ドラマをドキュメンタリーとしてどのように料理していこうと考えましたか?

大西監督:日本バスケの歴史を振り返って考えると、最終戦での勝利の前に、フィンランド戦での勝利がすでにクライマックスなんですね(2006年パナマに勝って以来、前身の世界選手権含めワールドカップ17年ぶりの勝利)。長い長い苦難の歴史を知ることによって、試合後に流した渡邊雄太選手や馬場雄大選手の涙の意味がわかるわけです。だから、この勝利に至る過程は丁寧に描く必要があるなと考えました。苦難の歴史を表現するイメージから入る作りにしたのも、作品を観ていただく方々には、日本バスケの歴史を踏まえてワールドカップを振り返ってほしかったからです。早い段階でこの流れは自分の中で固まっていました。

勝利を喜ぶ渡邊雄太選手

ーー選手たちのハードな練習風景や、本音が垣間見えるインタビューも印象的でした。

大西監督:JBAが大会前の合宿から撮影していた膨大な密着映像を確認すると、毎日、ひたむきに練習に取り組む選手たちの姿がありました。それを見た時、彼らが背負っているものの大きさやワールドカップに臨む覚悟を強く感じましたし、バスケに対する真摯な姿勢に胸を打たれ、一気に彼らのファンになりました。選手たちがどんな想いで大会に臨み、そしてフィンランド戦やベネズエラ戦での逆境を乗り越えた瞬間、どんな想いを抱いて戦っていたのか…そこは彼らの言葉で表現したかったので、12人の選手たち、そして彼らと一緒に戦ってきたコーチにも改めてインタビューをさせていただき、それを軸にストーリーを展開することにしました。

仲間を信じて戦うひたむきな姿

ーーレジェンドたちがどんな思いで今回のワールドカップを観ていたか、これも貴重なインタビューでした。

大西監督:本当にそうですね。今回の歴史的な結果というのは、これまでの日本代表の方々の努力と世界で戦い続けてきた経験の末にあることも、ぜひ伝えたかったので、代表のレジェンドとして、佐古賢一さんと田臥勇太さんにインタビューさせていただきました。日本バスケの苦難の歴史をどのように捉えていたのか、また今回の歴史的な大会をどう観ていたのか、とても重みのある貴重な言葉をいただいたと思います。

●広瀬すず、試合に夢中になりナレーション忘れる

ーー大ヒット映画『THE FIRST SLAM DUNK』のテーマ曲「第ゼロ感」(10-FEET)の挿入、大のバスケファンである広瀬すずさんのナレーション起用など、JBAの監修・協力のもと、あらゆる力を結集して日本のバスケ界全体を盛り上げようという意志をこの作品からも感じられます。「第ゼロ感」が流れた時は鳥肌が立ちました。

大西監督:10-FEETさんの「第ゼロ感」を作品中で使わせてもらうことは、試合映像を確認した段階から決めていました。最終戦で勝利した後、会場で流れていて観客の皆さんが大合唱していたので、あの一体感を使わないわけにはいかないだろうと。スラダンが今のバスケブームをつくった原点であることは間違いないと思いますので、作品に対して敬意も称する意味でも使わせていただきました。

ただ、作品中であまり多用すると、『THE FIRST SLAM DUNK』の大ヒットに乗っかったイメージをもたれると思ったので、やはりオリジナルのテーマ曲を作りたいなと。どんなイメージがいいかなと考えていた時に、バスケってアメリカのストリートカルチャーとリンクしていることからヒップホップにしようという話になり、周辺の人たちに相談していたところ、Rude―αさんの名前が挙がり、ちょうど知人がいたので、その方を通して楽曲制作をお願いしました。ざっくりと曲や歌詞の方向性は伝えましたが、こんなにも作品と調和する曲になったのは、Rude―αさん自身がバスケ経験者だったことも大きいのかなと思います。12人の思いを歌詞に織り込んでいただき、深みのある本当に素晴らしい曲になりました。感謝しています。

「第ゼロ感」(10-FEET)大合唱で会場の盛り上がりは最高潮

ーー広瀬すずさんのナレーションはいかがだったでしょうか?興奮する心を抑えながら、落ち着いた語り口でとても好感が持てました。

大西監督:広瀬さんにナレーションをお願いしたのは、スペシャルブースターとして沖縄の会場で実際に試合をご覧になっていて、あの独特の熱量を体感していたのが一番大きな理由です。それに、彼女自身、小学生の頃からのバスケ経験者でもあるので、これ以上の適役はいないんじゃないかなと。結果、彼女のナレーションが作品の世界観にすごくハマっていて、おまかせしてよかったなと思っています。こんな言い方は失礼かなとも思ったんですが、最初に、「今回の主人公はAKATSUKI JAPANの12人です。広瀬さんには彼らの戦いを引き立たせるような脇役になって欲しいんです」とお願いしたんです。その意図をちゃんと理解して読んでくれたので、途中で彼女が読んでいることを忘れるくらい、映像と声とが馴染んでいたと思います。

ナレーションを務めた広瀬すず

ーー監督ご自身、本作、あるいは大会全体を通して、一番胸に響いたるシーンはどこですか?

大西監督:作品の中で一番印象に残っているシーンは、ベネズエラ戦で15点差を逆転した瞬間です。ワールドカップの試合は、何度も繰り返し観ましたが、あの場面がAKATSUKI JAPNらしさ、【BELIEVE=信じる力】が最も体現されたプレーだったと感じたので、作品中でもかなり丁寧に描きました。河村勇輝選手が相手のコートからしつこく密着したディフェンスを続けたことで、こらえきれなくなってこぼれたボールを馬場選手が拾ってゴール下まで持ち込み、最後は比江島選手にパスして押し込むんですが、あの1プレーに込められている選手のみなさんの想いについては、是非、劇場で確認していただきたいです。

シュートを沈めゴールパフォーマンスを魅せる比江島慎選手

ーー広瀬さんもそのシーンに見入ってしまって、珍しくNGを出したそうですね(笑)

大西監督:まさにベネズエラ戦での逆転の瞬間でしたね。広瀬さんは現場であの瞬間を観ていたそうですが、当時を思い出したのでしょうか、ナレーションを忘れてしまうくらい夢中になって見入ってましたね(笑)。まさに会場にいるような臨場感を劇場で追体験できるので、バスケファンの皆さんもぜひ、映画館に足を運んでいただけたら嬉しいです。

(取材・文:坂田正樹)

<Story/パリ五輪への道> 2019年開催の「FIBAバスケットボールワールドカップ」、そして開催国枠で出場した「東京2020オリンピック」で予選敗退。大きな期待を背負って挑んだが勝利を収めることができないバスケ男子日本代表に対して、当時、世の中の声は厳しさを増していった。そんな中、バスケ女子日本代表は、「東京2020オリンピック」で銀メダルを獲得。女子日本代表の大躍進により日本中が熱気に包まれ、感動を与えてくれた選手、コーチらに賞賛の声が集まった。

檄を飛ばすトム・ホーバスHC

男子日本代表へ逆風が吹く中、「東京2020オリンピック」で女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスが、2021年9月、男子日本代表の新ヘッドコーチ(HC)に就任。彼のもと、日々厳しい練習を重ね、世界と戦える戦略と情熱を注いで「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」に挑む。パリ五輪出場権獲得を目指す日本(当時、FIBAランキング36位)は、オーストラリア(同3位)、ドイツ(同11位)、フィンランド(同24位)の強豪国がひしめく【死の組】グループEに入った。ドイツがグループの「本命」、日本は「アンダードッグ」と評される中、ホーバスHCは、【BELIEVE=ビリーブ】という言葉をチームスローガンに掲げ、世界へ挑む選手たちを鼓舞し続けた。

敗戦を喫するも終盤では互角以上の戦いを見せたドイツ戦。苦しい時間が続く中、大逆転劇を見せたフィンランド戦。グループ突破を掛け一丸となって挑むも善戦及ばず敗戦したオーストラリア戦。その結果、1次ラウンドを終えた日本代表は「17位~32位決定戦」へ回ることに。チームメイトやコーチ、そしてそれぞれが自分を信じ続けて挑んだ結果、初戦で対戦したベネズエラ戦では大逆転勝利を果たし、続く最終戦のカーボベルデ戦でも勝利を上げ、アジア1位、パリ五輪出場権を獲得。日本列島は、歓喜の渦に沸いた…!

<Staff & Cast> FIBAバスケットボールワールドカップ2023男子日本代表:富樫勇樹、河村勇輝、比江島慎、渡邊雄太、馬場雄大、西田優大、ジョシュ・ホーキンソン、富永啓生、原修太、井上宗一郎、吉井裕鷹、川真田紘也、トム・ホーバス/インタビュー出演:佐古賢一、田臥勇太/ナレーター:広瀬すず/公認・監修・制作協力:公益財団法人日本バスケットボール協会/企画・製作:電通、東映ビデオ/配給・宣伝:東映、東映ビデオ/制作協力:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ、千葉ジェッツ、横浜ビー・コルセアーズ、宇都宮ブレックス、長崎ヴェルカシーホース、シーホース三河、サンロッカーズ渋谷、越谷アルファーズ、アルバルク東京、滋賀レイクス、川崎ブレイブサンダース/協力:ネブラスカ大学、フォスター・プラス/挿入歌:「第ゼロ感」10-FEET/テーマ曲/「AKATSUKI」Rude−α(ユニバーサル ミュージック)/制作プロダクション:ネツゲン/監督:大西雄一/公式サイト:https://believe-akatsukijapan.jp/

©2024「BELIEVE」製作委員会 ©FIBA ©日本バスケットボール協会

ドキュメンタリー映画『BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち』は6月7日(金)より4週間限定公開中

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