注目の新星・奥平大兼&中島セナをダブル主演に加え、津田健次郎、新田真剣佑、森田剛ら豪華キャストが集結し、[実写]と[アニメ]で描かれるディズニープラス日本発オリジナルシリーズ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』が12月20日(水)より独占配信がスタートされた。
出水ぽすか(『約束のネバーランド』)のキャラクター原案・コンセプトアートを基に、実写を担当する萩原健太郎総監督(『東京喰種 トーキョーグール』)とともに、アニメーション監督に抜擢されたのが、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』などで知られる大塚隆史。「全てが新鮮でチャレンジングだった」という大塚監督に本作の舞台裏を聞いた。
あらすじ:現実世界<横須賀>に住む空想好きな女子高校生ナギ(中島セナ)は、ある日、異世界<ウーパナンタ>からやって来たという落ちこぼれのドラゴン乗り・タイム(奥平大兼)と出会う。別々の地で、周りと少し違う自分に生きづらさ感じている似た者同士だった二人は意気投合、2つの世界に滅亡の危機が迫る中、ナギとタイムたちは壮大な冒険の旅に出る…。
●強敵ジャイロが戦うシーンでアニメ監督の本領発揮
――大塚監督はどのような経緯でアニメーション監督としてこの企画に参加されたのですか?
大塚監督:実写とアニメで一つの物語を描き、入れ替わっていくような「かつてない壮大なファンタジーを作りたい」というお話を総監督である萩原さんからお誘いをいただいたのが最初です。アニメーションの設定としては、滅亡の危機が迫る“ウーパナンダ”という異世界を救うため、落ちこぼれのドラゴン乗り・タイム(奥平大兼)が現実世界のナギ(中島セナ)と協力しながら奮闘するというもので、脚本はすでに出来上がっていたのですが、自分なりに思ったことやアイデアもどんどん出しながら、萩原監督と一緒に作り上げていった感じですね。
――実写との兼ね合いだったり、バランスだったり、普段のアニメ制作では感じられない大変さはあったのでしょうか?
大塚監督:ウーパナンタというアニメの世界と、横須賀を舞台にした実写の世界が融合するというよりも、ある意味、きちんと棲み分けされていて、さらにウーパナンタの世界をどうするか、ということを萩原監督および企画のメンバーが試行錯誤しながら考えてくださっていたので、僕のところに企画が降りてきた段階では、「こんな世界を作りたい」という参考イメージの画像がすでにありました。それに加えて漫画家の出水ぽすかさんが描いたコンセプトアートもあったので、非常に効率よく作業が進めることができたと思います。もし、それがなかったら漠然としていて、自らどんな世界を構築するか深く考えなければならなかったと思いますが、ある程度出来上がっていたので、僕はそれを観た上で、「アニメだったらこんなアプローチができますよ」とか、「その表現はアニメとしては難しいので、こんな手段がありますよ」とか、意見を交わすことができました。
――例えば、大塚監督のアイデアが色濃く反映されたところはどんなシーンですか?何か具体例があれば教えてください。
大塚監督:ジャイロ(タイムたちを脅かす最強の敵)との戦闘シーンですかね。シナリオではフワっと書かれたところを、どんな武器を持って、どんな戦い方をするのかを僕が中心となってアイデアを提案させていただいたんですが、アニメ的な面白さは出せたかなと思います。特にジャイロのように実写の世界に行かないキャラクターは、遊べる要素があったのでやりがいがありましたね。
●実写キャスト=アニメキャラクターで違和感なし
――キャスティングに関してはいかがでしょう。実写の配役がそのままアニメの吹き替えになっていましたが。
大塚監督:アニメのアフレコも萩原監督が中心となって演出していただいたのですが、もちろん僕も同席させていただき、状況を伺いながらアドバイスさせていただきました。プロの声優さんと比べれば、多少浮いている感じもありましたが、初めて声優に挑戦される方も含めて、皆さん、さすがに勘がいいというか、映像に普通に馴染んでいたと思います。そもそもアニメは表現が過剰で、それに合わせて芝居も過剰にやらなければならないので、経験値がないとなかなか追いつかなかったり、加減がわからなかったりするんですが、今回は実写のメインキャラクターを演じる俳優さんがそのまま声を当てているので、タイム役の奥平大兼さんやアクタ役の新田真剣佑さんが実写に登場した時は、「あ、本当にアニメの世界から出てきた」という感動のほうが大きかったですね。僕の中では違和感はありませんでした。
――今回は、声優としての技量うんぬんの問題ではないですからね。
大塚監督:これはみんなに言えることなんですが、実写の撮影が終わり、自分たちが演じたキャラクターがしっかり持ったままアニメの収録に入ってくれたので、気持ちをつくるという点では全く問題なかったですね。アフレコが上手い、下手ということよりも、役者として素晴らしいなと思いました。
●巧みなストーリー展開に一気見必至!
――アニメパートは、実写では描けないダイナミックな描写が多々あると思いますが、大塚監督が視聴者に「ここはぜひ堪能してほしい!」というキモ入りのシーンがありましたら教えてください。
大塚監督:1~2話でドラゴンが躍動するシーンとか、アクタ(新田)が炎の中で敵と戦うシーンは、さすがProduction I.G(アニメーション制作会社)が作り出す映像だけあって見応えがあるし、引き込まれますね。一気に視聴者の心を掴むと思います。
――逆に実写パートではいかがでしょう。
大塚監督:個人的には後半の7~8話の“あるシーン”が物凄く楽しめたんですが、ネタバレになるので言えないです(笑)。ただ、アニメパートを取り入れた全体の構成が凄く上手くいったなと思いました。1~2話で興味を持たせ、4話の終わりで5話以降も観たいと思わせる。そして謎がどんどん解けていくに連れ視聴者は物語に釘付けになり、最後の8話まで観たくなるんですよね。後半に引っ張っていくパワーは、シナリオの段階よりも強力になっている感じがしました。
――<実写>と<アニメ>2つの世界で描く本作で、何か新たな発見やエンタテインメントの可能性など感じられましたか?
大塚監督:個人的には凄く面白かったです。欲を言えば、もっと最初から深部に関わってやりたかったですね。今回は、決まった脚本とコンセプトデザインを渡されてからの仕事だったので、良くも悪しくもそこからはみ出すことができなかったので。ただ、その部分を差し引いても新鮮で楽しかったです。20年もこの世界で仕事をしていると、だんだん刺激も少なくなってくるので(笑)
――最後に、読者にメッセージをいただけますか?
大塚監督:アニメと実写という2つの世界で描く作品ってなかなかないと思うので、やはりそこが大きな見どころですかね。アニメパートの物語がどんどん盛り上がり、いいところに差し掛かると、今度は実写にパッと切り替わったり、謎が徐々に解けてきたり、「次が観たい!」という欲求が常に刺激されるので、冬休みやお正月休み、ぜひご家族や友人と集まって、皆さんで楽しく観ていただけたらうれしいですね。
(取材・文・写真:バックヤード・コム編集部)
<Satff&Cast> 出演:中島セナ 奥平大兼 エマニエル由人 SUMIRE、津田健次郎 武内駿輔 嶋村侑 三宅健太 福山潤 土屋神葉 潘めぐみ 宮寺智子 大塚芳忠、田中麗奈 三浦誠己 成海璃子 /新田真剣佑(友情出演) 森田剛/監督:荻原健太郎/アニメーション監督:大塚隆史/原案:solo、日月舎 /脚本:藤本匡太、大江崇允、川原杏奈/キャラクター原案・コンセプトアート:出水ぽすか/プロデューサー:山本晃久、伊藤整、涌田秀幸/制作プロダクション:C&I エンタテインメント
© 2023 Disney