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APR 09, 2025 劇場公開作

レオス・カラックスの渦巻く頭の中を最新作『IT’SNOTMEイッツ・ノット・ミー』(4/26公開)で覗いてみよう

迷路のような複雑な頭の中を覗いてみたい…そう思わせる芸術家(特に映画作家)はなかなかいないものだが、我が心の師・デヴィッド・リンチ亡き後は、もはやレオス・カラックスしかいない(あくまでも個人的な趣味)。ほぼ同い年、目がうっすら見えるサングラス党、ユーロスペースの前でタバコを吸っていた彼と握手した思い出がこの世界に入っての最高の宝物…。そんな彼の最新作『It’sNotMeイッツ・ノット・ミー』が4月26日(土)よりユーロスペースほかにていよいよ全国公開される。

正直言って、わけがわからない。この映画を理詰めで解説する評論家はむしろ信用できない。この映画と対峙するときは、カラックスそのものを受け入れる覚悟がないと席を立ってしまうことだろう。逆にカラックス・ファンにとっては、彼の頭や体や心をミクロの決死圏のごとく旅する興奮で満たされることだろう。ただただ映画の世界を浮遊する…それでいいのだ、という観客には激推ししたい作品だ。

当初、パリの現代美術館ポンピドゥー・センターでカラックスの展覧会が企画され、「いま君はどこにいる(Oùenêtesvous,LeosCarax?)」というポンピドゥーからの問いへのアンサーとして本作は制作された。その後、第77回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門で上映され、映画祭のディレクター、ティエリー・フレモーは「美学的なエッセイのようであり、まばゆく、とても素晴らしい作品」と絶賛。ジャン=リュック・ゴダールへオマージュを捧げ、カラックスの全てが凝縮された42分のスペクタクルとして高く評価した。

盟友 ドゥニ・ラバンとともに

なお、公開に先駆け解禁された場面写真は、天井に反射した揺らめく水面を背景に飛び込み台から体を浮かせた不思議なカットや、『TOKYO!』の怪人メルド(ドゥニ・ラバン)がカラックスと一緒に公園を闊歩するシーン、さらには犬がくつろぐベッドサイドでカラックスが煙草に火をつけるプライベート風のショットなど全5点。ちなみに稲妻が走る瞬間を切り取ったカットの横顔の女性はカラックスの娘のナースチャ・ゴルベワ・カラックスなのだとか。

パジャマ姿のレオス・カラックス

カラックスの娘のナースチャ・ゴルベワ・カラックス

ついぞ実現しなかった展覧会のために、ポンピドゥー・センターは映画監督に、この質問への回答を映像で求めた。「レオス・カラックス、いま君はどこにいる?」彼は答えようとした――でも謎ばかりだ。彼について、そして“彼”の世界について。「分からない。でも分かれば、こう答えるだろう」…4月26日(土)より公開される最新作『IT’SNOTMEイッツ・ノット・ミー』で、カラックスの頭の中を覗いてみようではないか。

<Staff &Cast> 監督:レオス・カラックス/撮影:カロリーヌ・シャンプティエ/出演:ドニ・ラヴァン、カテリーナ・ウスピナ、ナースチャ・ゴルベワ・カラックスフランス/42分/2024年/カラー&モノクロ/1.78:1 原題『C’estpas Moi』/英語題『It’s NotMe』/配給:ユーロスペース/公式サイト:eurospace.co.jp/itsnotme

© 2024 CG CINÉMA • THÉO FILMS • ARTE FRANCE CINÉMA

映画『It’sNotMeイッツ・ノット・ミー』は4月26日(土)よりユーロスペースほか全国公開

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