第37回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門招待作品として選出された映画『サンセット・サンライズ』 (2025年1月17日公開)の舞台挨拶が11月2日(土)に行われ、主演の菅田将暉、メガホンをとった岸善幸監督が登壇した。
本作は、ともに東北出身の二人、「新宿野戦病院」「不適切にもほどがある!」などの名脚本家・宮藤官九郎がと、映画『正欲』で第36回東京国際映画祭最優秀監督賞と観客賞を受賞した岸善幸監督がタッグを組み、 『あゝ、荒野』以来7年ぶりに岸組に帰ってきた俳優の菅田将暉が主演するヒューマンコメディー。コロナ禍の日本、過疎化に悩む地方、震災の影響などの社会問題と向き合いながら、都会から移住した釣り好きサラリーマン⻄尾晋作と、宮城県・南三陸で生きる住民との交流をユーモアたっぷりに描く。
主人公・⻄尾晋作を演じた、主演の菅田は「こうやって舞台挨拶が出来て嬉しい」とまずは感激の一声。続いて、昨年は『正欲』に続き2年連続で本映画祭の登壇となる岸監督も「東京国際映画祭のガラ・セレクションに選ばれて、皆様の前で初めて上映をさせていただいたこと、本当に嬉しく思います」と感謝を述べた。
本作が作られたきっかけについて問われた岸監督(山形県出身)は、企画プロデューサー佐藤順子から「宮藤官九郎さんに会って下さい」と言われ、同じ東北出身の宮藤(宮城出身)と意気投合、そこで菅田の名前も挙がり、一気に企画がスタートしたと明かす。過去2作で岸監督作品に参加、本作で7年ぶりのタッグとなった菅田は、これまでの2作はいずれも過激な描写の多い作品であったため、「次はちょっと笑える作品ぜひやりたいです」と話していたと振り返る。そして今回、宮藤が手がけた脚本を読み、「見たことない映画になりそうだなというワクワクで、受けました」と出演の経緯を語った。
その後、満席の会場で観客とのQ &Aを実施。司会から当てられた観客から「メシ映画としての要素もあると思いました。色々な料理が出てきますが、美味しそうに見えるために意識したことは?また、(菅田さんが)劇中で食べた料理の中で何が1番美味しかったですか?」という質問に対して、岸監督は、「本当に自分が食べて美味しいと思った料理を宮藤さんに相談して、それを映画で使わせてもらったんです。菅田さんが、晋作として食べて美味しかったっていうことは大切かなと思いました」と回答。これに対して菅田は、「この映画の撮影中に、実は7キロぐらい太ったんです(笑)。食べすぎてしまうぐらい本当に美味しかったです。1番美味しかったものは難しいですけど、印象に残っているのはハーモニカ焼きです」と答えた。
そのほか、原作と脚本の違い、タコと竹原ピストルと格闘するシーンの裏話、もしも移住するとしたら?などなど、さまざまな質問が飛び交い、時折、笑いを交えて質疑応答が進行するなか、「この映画は、東日本大震災のことも描かれていますが、演じる上で気をつけていたことはありましたか?」という質問対して菅田は、「コロナ禍というベースがあって、そして震災があって。でも悲しさだけじゃなく笑えるシーンもあってという。演じる上では覚悟がいる映画でした。みんなが体験したことと、みんなは体験してないけど知っていること、この大きな2つをテーマに、僕らも映画を通してどうやってコミュニケーション取っていくかはずっと気にしていました。その中でも一番気にしたのは、地方に移住するお話なので、三陸を謳歌する主人公を演じる上で、東京ヘイトにはならないようにしたことです。東京がつまらなくて、地方に行くことが正義という映画ではないということは気をつけていました」と真摯に答えていた。
<Story> 新型コロナウイルスのパンデミックで世界中がロックダウンに追い込まれた2020年。リモートワークを機に東京の大企業に勤める釣り好きの西尾晋作(菅田)は、4LDK・家賃6万円の神物件に一目惚れ。何より海が近くて大好きな釣りが楽しめる三陸の町で気楽な“お試し移住”をスタート。仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごすが、東京から来た〈よそ者〉の晋作に、町の人たちは気が気でない。一癖も二癖もある地元民の距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作だったが、その先にはまさかの人生が待っていた—?!
<Cast & Staff> 出演:菅田将暉、井上真央、竹原ピストル、山本浩司、好井まさお、藤間爽子、茅島みずき、白川和子、ビートきよし、半海一晃、宮崎吐夢、少路勇介、松尾貴史、三宅健、池脇千鶴、小日向文世 / 中村雅俊 脚本:宮藤官九郎/監督:岸善幸/原作:楡周平『サンセット・サンライズ』(講談社文庫)/音楽:網守将平/主題歌:青葉市子/製作:石井紹良、神山健一郎、山田邦雄、竹澤 浩、角田真敏、渡邊万由美、小林敏之、渡辺章仁/企画・プロデュース:佐藤順子/エグゼクティブプロデューサー:中村優子、杉田浩光/プロデューサー:富田朋子/共同プロデューサー:谷戸豊/撮影:今村圭佑/照明:平山達弥/録音:原川慎平/音響効果:大塚智子/キャスティング:田端利江、山下葉子/美術:露木恵美子/装飾:松尾文子、福岡淳太郎/スタイリスト:伊賀大介/衣装:田口慧/ヘアメイク:新井はるか/助監督:山田卓司/制作担当:宮森隆介 田中智明/編集:岡下慶仁/ラインプロデューサー:塚村悦郎/製作幹事:murmur /制作プロダクション:テレビマンユニオン/配給:ワーナー・ブラザース映画 公式サイト:sunsetsunrise-movie.jp
Ⓒ楡周平/講談社 Ⓒ2024「サンセット・サンライズ」製作委員会