板⾕由夏、映画『夜明けまでバス停で』で17年ぶりの主演！「高橋伴明監督ともう一度ご一緒するのが目標だった」

高橋伴明監督最新作『夜明けまでバス停で』で実に17年ぶりの映画主演を務めた俳優の板谷由夏。『光の雨』（2001）以来の高橋組参戦を果たした板谷は、「高橋監督ともう一度ご一緒するのが私の目標だった」と語るほど、本作は念願叶っての一作。その熱い思いをオフィシャル・インタビューで語った。

「今、これを世の中に発信しなければ」…という名匠・⾼橋監督（『痛くない死に⽅』『TATTOO＜刺青＞あり』）という呼びかけに日本映画が誇るスタッフ＆キャストが集結。バス停で寝泊まりするホームレスに転落してしまう主人公・三知子を板谷が演じるほか、三知子の働く居酒屋の店長に大西礼芳、マネージャーに三浦貴大、居酒屋の同僚役にルビーモレノ、片岡礼子、土居志央梨、古参のホームレスに根岸季衣、柄本明ら実力派俳優が勢ぞろいした。中でも、次第に行き場を失くし、その怒りの矛先が政府へと向かっていく三知子に扮した板谷の迫真の演技は目を見張るものがある。

あらすじ：北林三知子（板谷）は昼間はアトリエで自作のアクセサリーを売りながら、夜は焼き鳥屋で住み込みのパートとして働いていたが、突然のコロナ禍により仕事と家を同時に失ってしまう。新しい仕事もなく、ファミレスや漫画喫茶も閉まっている。途方に暮れる三知子の目の前には、街灯が照らし暗闇の中そこだけ少し明るくポツリと佇むバス停があった…。⼀⽅、三知⼦が働いていた焼き⿃屋の店⻑である寺島千晴（⼤⻄）は、コロナ禍で現実と従業員の板挟みになり、恋⼈でもあるマネージャー・⼤河原聡（三浦）のパワハラ・セクハラにも頭を悩まされていた。誰にも弱みを⾒せられず、ホームレスに転落した三知⼦は、公園で古参のホームレス・バクダン（柄本）と出会い、思わぬ方向へと流されていく…。

＜板谷由夏インタビュー＞

ーー2001年の『光の雨』以来となりますが、板谷さんにとって高橋監督はどんな存在ですか？

板谷：日本の映画監督らしい映画監督です。20代でご一緒した時に、「将来もう一度絶対にご一緒した い」と思った目標の監督でした。

ーー脚本を読んだ段階でどんな映画になると思いましたか？

板谷：特に後半、画になってみないとわからないなという部分はあったのですが、初号試写を観て、なるほどと納得し ました。

ーー板谷さんが演じた三知子はどういう人物だと思いますか？

板谷：三知子は自分のことは自分で責任を取るという、責任感が強い人だと思います。いい人だし、人 にも優しい。でも自分は「助けて」と言えないという、現代の日本の女性たちの代表のような気がします。

ーーどういったところを大事に演じましたか？

板谷：三知子に起きることを私が体験・体感することで素直に出てくる気持ちを大事にしようと思いました。

ーー脚本家の梶原阿貴さんとはクランクイン前に三知子のことで何かお話しましたか？

板谷：梶原さんは「同じ世代として三知子のこと、わかるよね」と話し、一緒に※大林三佐子さんの命日にバス停にお花を持って行きました。（ ※大林三佐子さん：渋谷ホームレス殺人事件で殺害された実在の方で、本作のモチーフとなっている）

ーー本作はあくまでもフィクションですが、大林三佐子さんについて何か調べましたか？三知子役を演じるにあたり、ヒントにはなりましたか？

板谷：どうしてそんなことになったのかだとか、どうして彼女が殺されてしまったのかだとか、背景に ついては読み漁りました。大林さんはネガティブな想いでホームレスになってしまったのでは なく、元々はポジティブな普通の女性だったというところは参考になりました。「じゃあ（大林 さんが）どうしてこういうことになってしまったんだろう」ということを紐解いていくことは、 「三知子がどうしてそうなっていったんだろう」ということを理解するためのヒントになりまし た。

ーー実際に居酒屋でアルバイトを体験してみたとお聞きしたんですが本当ですか？

板谷：そこで働く女性たちに会いたかったですし、居酒屋の忙しさだとかを習得したかったので、アルバイトをさせてもらったんですが、三知子が時給で働いて、住み込みだったと考えると、（ホームレスになってしまうことは）可能性としてあり得る話なんだなとリアリティを感じました。

ーー居酒屋のシーンで一番印象に残っているところは？

板谷：三浦（貴大）さん演じるマネージャーが嫌な奴全開でやってくださったので、三浦さんに助けられました。

ーー完成した作品を見ていかがでしたか？ また、本作の見どころはどこだと思いますか？

板谷：台本よりも映像になった方が伴明さんのメッセージ・言いたかったことがわかる気がしました。見終わってどうだったというより、見終わって持ち帰って、あなたはどうしますか？と問題を提起している作品だと思うので、伴明さんが言いたいメッセージ、伝えたいことをそれぞれが考え てくれたらいいなと思います。

ーー最後に読者にメッセージをお願いします。

板谷：コロナ禍で、「何かやらなきゃ」だとか「このままじゃいけない」と思っている人が多いと思うんです。そういう優しい気持ちを持っている方には見に来てもらえるのではないかと思っています。

※インタビューのご本人回答部分は、オフィシャル提供を転載しております。

2022年10 ⽉ 8 ⽇（⼟）より新宿 Kʼs Cinema、池袋シネマ・ロサ他全国順次公開

©2022「夜が明けるまでバス停で」製作委員会