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AUG 30, 2022 インタビュー

<BC注目女優#4>期待の新星・髙石あかりの溢れ出る感性…映画『とおいらいめい』で魅せた戸惑いと健気さ

撮影:松林満美

ノストラダムスの大予言で沸いた世紀末(1999年)と彗星の衝突により人類滅亡が数ヶ月後に迫った現在(2020年)。2つの“世界の終わり“を舞台に、バラバラだった3姉妹がゆっくりと家族になっていく姿を描く異色作『とおいらいめい』(8月27日公開)。本作で1人だけ母親が違う孤独な末っ子・音(おと)を演じたのが、注目女優・髙石あかりだ。映画初主演作『ベイビーわるきゅーれ』の威勢のいい役(殺し屋女子高生)とは打って変わって、自分を出せずにモジモジする少女役でまたしても新境地を拓いた髙石に、本作への熱い思いとともに、撮影にまつわるエピソードを聞いた。

■日常の中に不穏な空気が徐々に流れてくるタイミングがリアル

――本作に出演するきっかけを教えていただけますか?

髙石:大橋(隆行)監督の『かぞくあわせ』という作品の試写会に行かせていただいて、少しお話しさせていただいたんですが、『とおいらいめい』の制作が決まった時に、大橋監督の頭の中にその時の私の顔がパッと浮かんだそうです。

――何か印象に残るようなエピソードがあったのですか?

髙石:その時は普通に「映画、面白かったです!」って感想をお伝えしたぐらいで、そんなに深い話はしなかったので、まさか私の顔が浮かぶなんて想像もしていませんでした。しかも、原作はアラサーの双子の姉妹のお話だったらしいのですが、急遽、3人姉妹に変更されたと聞いて、さらに驚きました!

――髙石さんと出会って、脚本まで変えてしまった…よほどインパクトがあったんですね。

髙石:そうですね、何かを感じてくださったのならとてもうれしいです。

――出来上がった脚本を読まれて、どんな印象を持ちましたか?

髙石:疎遠だった姉たちとの同居に戸惑う“音”という役は、これまで演じたことのないタイプだったので、すごくワクワクしました。新たな領域に挑戦することで、また一つ壁を突き破ることができるんじゃないかと。撮影に入る前に長女・絢音役の吹越ともみさんと次女・花音役の田中美晴さんと3人で本読みをさせていただいたんですが、それがとても心地よくて、「早く(ロケ地である)岡山に行きたい!」と思いました。大橋監督をはじめスタッフさんの空気感もすごくよかったので、自分にとっても、作品にとっても、「これは絶対に価値あるものになる」と、その段階で確信しましたね。

――ノストラダムスの大予言と人類滅亡の危機に包まれながら、ある異母3姉妹の心の変化を丹念に描いていくという…何かマクロとミクロが合体したような不思議な物語もユニークでした。

髙石:私はノストラダムスというものを知らなかったので、すべてが「絶滅してしまうかもしれない」みたいな、そういう危機を世界全体で共有するってどういう感じなのか、興味津々でした。自分の中で“人類滅亡”のイメージを作り上げていくのがすごく面白くて、映画を観た方がその臨場感をちゃんと受け取ってくれるかな、とか、想像するだけで楽しかったです。

――でも、完成した映画は、驚くほど穏やかでした。

髙石:はい、とても穏やかで、ゆったりした時間が流れていました。でも、だんだん日常の中に不穏な空気が流れてきて、「もうすぐみんな死んでしまうかもしれない」ということがだんだんわかってくるタイミングがとてもリアルに感じました。「伝わるかな?」なんて多少不安を感じながら演じていた部分もあったのですが、ちゃんとカタチになっていて、すごい作品だなって思いました。

――「人類がもうすぐ滅亡するかもしれない」なんて説明は一切なく、あくまでも視座は3姉妹の心の変化に向いている…ある意味、潔い映画ですよね。

髙石:確かにそうですね。何の説明もなく物語が進んでいくので、ちょっと戸惑ったりしますが、逆にそれこそがこの作品の魅力だと思います。

■余計なものを取り外すことで“音”の本質が見えてきた

――大橋監督から脚本に縛られず、「自分の感じたままに演じてほしい」と言われたそうですが、演じる側の立場からすると、逆に戸惑うのか、それとも俄然やる気が出るのか、髙石さんはどちらですか?

髙石:私は後者です。「よーし、やってやるぞ!」っていう気持ちになりますし、ワクワクします。でも、監督は監督で思い描いているイメージがあったので、最終的にはお互いに話し合いながら決めていく感じでした。

――できれば、大橋監督とのやりとりを教えてください。

髙石:細かいことはほとんどおっしゃらないです。ただ、私たちが自由に演じてみて、それを観た監督が、「概ねオッケー!」という時は、「概ね…あ、もう一度だ」というのがだんだんわかってくるんです(笑)。例えば、音なら、「こういう感情を抱くだろうな」と思って表現したものも、少しずつ取り外していくことによって逆に見えてくるものがあったりしました。何テイクも重ねる時もあれば、ワンテイクで終わる時もあって、演じていてとても面白かったです。

――まさに音を中心とした姉妹の感情の変化がこの映画の核になっていると思いますが、髙石さんなりにどうやって作り上げていったのでしょう。

髙石:最初の1週間は岡山での撮影だったんですが、キャストの皆さん、スタッフの皆さん全員で、1つ屋根の下で暮らすという合宿のような感じで現場に臨んだので、自然と音になれていたというか、「役づくりしよう」という気持ちはなかったです。少しだけ声のトーンを落としてはいましたが、工夫したのはそれくらい。でも、本音を言うと、当時はまだ、役を固めていくというやり方を知らなかったんです(笑)

――本当の姉妹というか、家族というか、物語の進行と同じように共演者の皆さんと絆を深めていった感じなんですね。

髙石:そうですね。日常生活を共にすることで、徐々に全体が家族になっていくというか、そのプロセスと物語がちょうど重なっていった感じです。

――先程、音から余計なものを取り外していく、とおっしゃっていましたが、共同生活をすることによって見えてきたものもあったんでしょうか?

髙石:一応、自分なりに感情の流れみたいなのをつくってはいるんですが、音はこういう性格だからこうなる、みたいなものはなくて、例えば、「この時はきっと悲しいだろうなぁ」と思ってそういう感情で演じてみると、「あれ、もしかして意外と“恥ずかしい”なのかな?」とか、そういう微妙なところが回を重ねるごとに見えてくるんですよね。あとはお姉ちゃん2人の声色を聞いて、「あれ?お姉ちゃん、何かあったのかな?」とか、それがだんだん敏感になってくるというか、回を重ねるごとにお姉ちゃん役の2人もどんどん変わってくるし、お芝居もだんだん見えてきて…。そうものを感じながら撮影していました。

作り込まなかったからこそ生まれた自然な感情

――印象に残るシーンはいっぱいあるんですが、やはりあの12分間長回しの壮大なシーンを外すわけにはいきません。映画史に残ると言っても過言ではない素晴らしい3姉妹の心の交流を振り返ってください。

髙石:岡山ロケの最後の2日間で撮影したんですが、日が沈むタイミングでしか撮れないということで、絶対に間違えられない状況だったんですね。大橋監督からは、「日がここから落ちて、かなり経ってからセリフを言ってください」という指示があったんですが、言葉を発するタイミングとか、3人が寄り添って来るタイミングとか、正確に計算できるものではありませんし、リハーサルもほとんどできない状態だったので、もう何も持っていかずに、ぶっつけ本番でいこうと。「アクション!」という声が聞こえた時は、頭が真っ白になったんですが、結果的にそれがよかったみたいです。気づいたら自然に言葉が出てきたり、涙が溢れていたり、いつの間にか3人が近づいていたり…。作り込まなかったからこそ生まれた素晴らしいシーンだと思います。

――髙石さんの遊び心満載の細かい演技も大好きです。例えば、夢なのか、幻想なのか、わからない世界で、現在の音が小さい頃のお姉ちゃん2人と出会って、ラーメンを食べに行くシーンは最高でした。その時の音の感情も知りたいんですが、まず、あのラーメンの食べ方!あれ、説明してください(笑)

髙石:あれは、ラーメンを食べたことがないっていう設定が自分の中にあって。音は(地球に異変が起こり)自給自足で育ってきたから、噂では聞いていたラーメンという食べ物と初めて出会って、「これがそうなんだ!」っていうリアクションなんです。だから、食べ方もわからないので、うまくススることができず、思いっきり口の中にパクッと入れちゃって、「この後、どうすればいいんだ?」みたいな(笑)。

――なるほど、そういうことなんですね!あと、子供時代のお姉ちゃんが食べているものも、「ちょうだい!」とか言って強引にかっさらって、泣かせちゃったりするところも笑えました。

髙石:あそこでたぶん、末っ子らしさというか、いままで封印していた音の本当の姿が出ちゃうんですよね。そのあと、普通の状況に戻って、大人のお姉ちゃんたちと会った時には、素直に感情が出るようになって、3人の距離が縮まったように思います。

――ほかにも、動揺を隠せず引き戸のところで出たり入ったりオロオロしたり、とびっきりオシャレをしたのに姉に無視されドギマギしたり…。細かい“髙石あかりアプローチ”が随所にちりばめられているので、ファンの方はそこも要チェックですね(笑)

髙石:わぁ、そんな細かいところまで観てくださっていたんですね!気づいてくださってありがとうございます。ぜひ、楽しみにしてください(笑)

今、なぜ、髙石は女優としての道を歩いているのか。もともと保育園の頃から女優に憧れはあったそうだが、ある日、ふと自分を俯瞰してみたら、驚きの行動に気がついたという。「音楽を聴きながらその世界観に合った振る舞いをしてみたり、テレビドラマを観ながら女優さんの表情を真似してみたり、時には泣いてみたり…単なる遊びだと思っていたんですが、これって『女優になりたい』っていうシグナルなのかなって。それがわかってからの切り替えは早かったと思います」

心の声に耳を傾け、心のままに演技の道へ進んだ髙石のその後の快進撃は言わずもがな。人類滅亡のカウントダウンが始まる中、異母3姉妹がゆっくりと家族になっていくという、ある意味挑戦的な本作で、髙石はまた新たな魅力を開花させた。演技への真摯さと、負けん気と、ちょっとした遊び心が宿るその大きな瞳が、どうにも頭にこびりついて離れない。「これ、いつも言ってるんですが、夢は朝ドラのヒロインなんです」。毎朝、テレビをつけたら髙石がいる…。これはある意味、髙石だけでなく、ファンにとっても、筆者にとっても、ぜひとも叶えてほしい悲願の夢だ。(提供:バックヤード・コム 取材・文:坂田正樹  写真:松林満美)

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映画『とおいらいめい』は8月27日(土)〜9月23日(祝)池袋シネマ・ロサより全国順次公開(8/27(土)~9/9(金)19:45~、9/10(土)~9/23(金)レイトショー 上映時間未定)

公式サイト: runecinema.com/tooiraimei/

©ルネシネマ

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