切なくも愛おしい“終活”に涙が止まらない…映画『パリタクシー』心を解きほぐす人生最期の寄り道

世界中の映画祭から喝采を浴び、フランス初登場新作NO.1大ヒットを記録した映画『パリタクシー』が4月7日（金）より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほかにて全国公開される。 終活に向かう92歳のマダムの依頼は、人生を過ごしたパリを横断する“寄り道”。 だがその道のりは「まさか、まさか！」の連続… 数々の衝撃の先に待ち受ける感動のフィナーレとは？

金なし、休みなし、免停寸前…パリのタクシー運転手シャルルは、人生最大の危機を迎えていた。このままでは最愛の家族にも会わせる顔がない。そんな彼のもとに、92歳のマダム、マドレーヌをパリの反対側にある老人ホームまで送ってほしいという依頼が舞い込む。だが、終活に向かう彼女から、「寄り道しながら送ってほしい」と懇願されるシャルル。人生の大半を過ごしたパリの街にはマドレーヌの胸に刻まれた悲喜こもごもの思い出がいっぱい。寄り道をするたびに彼女の驚きの過去がひも解かれ、いつしか2人の間に奇妙な“絆”が芽生え始める…・

シャルルを演じるのは、『タイタニック』に次ぐフランス歴代興収第2位の『ようこそ、シュティの国へ』で監督・主演を務めた大人気コメディアン、ダニー・ブーン。マダム・マドレーヌには、最もキャリアの長い国民的シャンソン歌手で、フランス最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受賞したリーヌ・ルノー。実生活でも親交が深い二人のリアルな絆が観る者の心を温める。監督・脚本は『戦場のアリア』でセザール賞脚本賞にノミネートされたクリスチャン・カリオン。 エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、洒落たビストロ──もう一人の主人公であるパリのエレガントな美しさに浸れる映像も見逃せない。

最初は相容れない水と油。好き好んで出会ったわけではないけれど、何かの縁で引き寄せられた主人公たちは、やがて深い絆で結ばれてゆく…。思えば、『最強のふたり』『アプローズ、アプローズ！　囚人たちの大舞台』『レオン』などフランス映画が得意とするシチュエーションだが、本作のキャラクターは、借金まみれの不愛想な中年ドライバーと、終活を決意したちょっと訳ありな92歳のマダム。全く共通点のない二人の小さな旅が、やがて時空を超えた壮大な旅へと発展する展開が実にドラマティックで面白い。

ファーストキスをした思い出の地や甘い結婚生活を送った場所など、おセンチな寄り道ばかりなら、ドライバーも我々観客も途中で飽き飽きしたかもしれないが、マダム・マドレーヌの人生は想像を遥かに超えてくる。ナチスによる迫害、女性差別、家庭内暴力、そして彼女を追い詰めた恐るべき悲劇…。そんなマドレーヌの束縛された人生を優しく解きほぐすように、シャルルはパリの街を走らせる。「腕を組んでもいいかしら？」マドレーヌのそんな可愛いひと言に笑顔で応えるシャルルもまた、いろんな呪縛から解き放たれ、人が変わったようにその表情は優しさに満ちている。「微笑むたびに人は若返る」…心潤す名作が新たに誕生した。

＜Staff&Cast＞　監督：クリスチャン・カリオン／出演：リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン／2022年／フランス語／91分／スコープ／カラー／5.1ch／原題：Une belle course／日本語字幕：星加久実／配給：松竹／後援：在日フランス大使館／アンスティチュ・フランセ日本 　公式サイト：movies.shochiku.co.jp/paristaxi/

映画『パリタクシー』は4月7日（金）より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国公開