心震える実話『私、オルガ・ヘプナロヴァー』公開！“復讐”という名の“自殺”を決行した女性死刑囚の波紋
チェコスロバキア最後の女性死刑囚として、若干 23 歳にして絞首刑に処された実在の人物の苦悩を映画『私、オルガ・ヘプナロヴァー』が 4 月 29 日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開される。
＜オルガが死刑囚になるまで＞ 銀行員の父と歯科医の母を持つ経済的にも恵まれたオルガ・ヘプナロヴァーは、1973 年 7 月 10 日、チェコの首都であるプラハの中心地で、路面電車を待つ群衆の中へトラックで突っ込む。この事故で 8 人が死亡、12 人が負傷。犯行前、22 歳のオルガは新聞社に、「自身の行為は、多くの人々から受けた虐待に対する復讐であり、社会に罰を与えた」と示す声明文を送っていた。
両親の無関心と虐待、社会からの疎外やいじめによって心に傷を負ったオルガは、自らを“性的障害者”と呼び、酒とタバコに溺れ、女たちと次々に肌を重ね、苦悩と疎外感を抱えた精神状態はヤスリで削られていくかのように悪化し、ついには“復讐”という名の“自殺”を決行しまう…。逮捕後も全く反省の色を見せず、1975年 3 月 12 日にチェコスロバキア最後の女性死刑囚として絞首刑に処された。
＜Introduction＞ 2016 年ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品を飾った本作は、チェコ映画界の新鋭トマーシュ・ヴァインレプ＆ペトル・カズダ監督による長編映画デビュー作。オルガの人格や行動を擁護することも、伝記映画にありがちな感情的演出もあえて排除し、ドキュメンタリーのようなリアリズムを徹底追求している。イエジー・スコリモフスキ監督作『エッセンシャル・キリング』（10）で名を馳せたポーランドの撮影監督アダム・スィコラによるモノクロ映像も印象的だ。
大量殺人犯オルガという、社会から孤立する少女から大人への変貌を体当たりで演じ切ったのは『ゆれる人魚』（15）、『マチルダ禁断の恋』（17）で注目されるポーランドの若手実力派女優ミハリナ・オルシャニスカ。人種や性別、性的指向に起因する「居場所のなさ」「人と違うこと」「いじめ」といった現在も変わらぬ問題の絶望に直面し、その内面性と身体性を生かした演技が高く評価され、本作ではチェコ・アカデミー賞主演女優賞をはじめ多くの賞に輝いた。
＜Staff&Cast＞ 監督・脚本： トマーシュ・ヴァインレプ、ペトル・カズダ／原作：ロマン・ツィーレク／撮影： アダム・スィコラ／編集：ヴォイチェフ・フリッチ／美術：アレクサンドル・コザーク／衣装：アネタ・グルニャーコヴァー／出演者： ミハリナ・オルシャニスカ、マリカ・ソポスカー、クラーラ・メリーシコヴァー、マルチン・ペフラート、マルタ・マズレク／2016年／チェコ・ポーランド・スロバキア・フランス／10分／B&W／5.1ch／1:1.85／DCP／原題：Já, Olga Hepnarová／日本語字幕：上條葉月／字幕監修：ペトル・ホリー／提供：クレプスキュール フィルム、シネマ・サクセション／配給：クレプスキュール フィルム 公式HP： http://olga.crepuscule-films.com/
