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OCT 11, 2024 劇場公開作

その執念は狂気の領域!『おしゃべりな写真館』藤嘉行監督が私財を投じてまで描きたかったもの、それは「優しさにあふれた人生再生物語」

ネットの加速度的進化によって、暮らしがどんどん便利になる一方、人と人との交流が希薄になり、SNSによる誹謗中傷も過激になるばかり。世界を見渡せば、相変わらず無益な戦争を繰り返し、幸福を目指していたはずの社会は、なんだか疲弊しきっているようにも見える。現実を厳しく追及する社会派映画も確かに大切だが、こんな時代だからこそ、心温まる愛に溢れた物語を届けたい…。そんな思いを込めて藤 嘉行監督は、私財を投じるなど資金調達に苦しみながらも、最新作『おしゃべりな写真館』を完成させた。

主演を務めた中原丈雄

本作は、北海道の大自然に囲まれた十勝の鹿追町・夫婦山の麓に建つ古い写真館を舞台に、目を患った写真家と幽霊が見える少女との温かい交流を通して人生の再生を描くヒューマン・ファンタジー。今年2月に「シネマ太陽帯広」にて北海道先行上映され、公開初日から3週間満席を記録。その後、北海道全土に拡大公開され、1万人を動員する大ヒットとなった。そして、この圧倒的実績を引っ提げて、いよいよ本日10月11日(金)より全国公開がスタートする。

主人公の写真家・松原雄二を演じるのは、藤監督の前作『明日へ~戦争は罪悪である~』でも主演を務めた中原丈雄、幽霊と会話ができ、雄二の人生再生を後押しする孤独な少女・麻衣役にはオーディションで選ばれた新人・山木雪羽那、そのほか橋爪功、賀来千香子、小宮孝泰ら藤監督作品にゆかりのある名優たちが顔を揃える。

橋本功・賀来千香子

自ら鹿追町に移住し、新聞配達を手伝いながらロケハンを重ね、その経験を脚本や撮影に生かしたという藤監督。夫婦山と一本の木(白樺)を背景に、なんと理想の写真館を建ててしまったというから驚きだ。「映し出される四季の移ろいは、優しく静かに主人公の雄二と麻衣を見つめている。ただ、自然に抱かれているだけで人間は癒されることを描きたかった」と語るように、この映画には、暴力もない、悪人もいない。そこにあるのは、北海道の雄大な自然と人が人を気遣う真心の連鎖だ。

舞台となる写真館

確かに、刺激的な映画が多いこのご時勢、呑み込まれてしまいそうなテーマだが、藤監督は人と人との交流が希薄な今だからこそ作るべきだと主張する。ところが、目の前に突きつけられた現実、それは映画の製作費。「自分の作りたい映画を撮るために身を削るのは当たり前のこと。ただ、そうは言っても私財を投じるだけでは映画は撮れません。最大の困難は資金調達。それは現在も続いています」と吐露する。

制作難航は覚悟の上だったが、なんと、奇跡が起きた。信念を貫こうとする藤監督の揺るぎない姿勢が、鹿追町の人たちの心を動かしたのだ。町をあげて応援体制を整え、クランクイン前には“映画「おしゃべりな写真館」ささえ隊”が発足するという予想を超える盛り上がりまで見せた。「撮影に必要な物の調達から、撮影中の炊き出し、エキストラの参加など、数えきれないほどのご協力をいただきました。さらに、公開初日から満席が続いたのも、ささえ隊の皆さんの声かけや前売り券の販売を精力的にサポートしていただいたおかげ」と藤監督は当時を振り返る。

公開前には、帯広駅ビルのなかに『おしゃべりな写真館』ブースを作り、美術小道具の展示、パネル展示、予告編上映など大々的な宣伝活動に尽力し、劇場までの交通手段のないお年寄りがいると聞けば、町のバスを手配して映画館まで案内してくれたこともあったという。ここまでくれば藤組の立派なスタッフ。ささえ隊、恐るべきパワーである。

もはや狂気ともいえる信念で鹿追町の人々を巻き込み、慈愛と希望に満ちたヒューマン・ファンタジー『おしゃべりな写真館』を完成させた藤監督。北海道民を魅了した、その情熱に裏打ちされた筋金入りの優しさが、今日から全国に魔法をかける。

<Story> 北海道の十勝平野北部・鹿追町。100年近い歴史を持つ写真館の三代目・三國勘太郎(橋爪))が亡くなり、2年前に先立った勘太郎の娘・敬子(賀来)の夫で写真家の松原雄二(中原)がやってくる。緑内障となり失意のどん底にいた雄二だったが、彼の元に、「写真館を譲る」という勘太郎の遺書が届いたからだ。最初は処分するつもりでいた雄二だったが、雪の中で動けなくなっている訳ありの少女・吉本麻衣 (山木)を助けたことから、写真館を拠点に奇妙な二人暮らしをすることに。そんなある日、麻衣のもとに幽霊の勘太郎と敬子が現れ、カメラを持たなくなった雄二にもう一度写真を撮らせようと画策する…。

<Staff & Cast> 出演:中原丈雄、山木雪羽那、小宮孝泰、中川和恵、なすび、橋爪渓、水町レイコ、上地慶、勝部演之、谷川清美/賀来千香子/橋爪功 監督・脚本:藤嘉行原案:福島三郎脚本:森ゆかり/音楽:遠藤浩二/美術:太田喜久男/プロデューサー:須永裕之、篠尾幸孝/撮影:瀬川龍/編集:川瀬功/照明:佐藤宗史、浦山雅史/録音:池田雅樹、瀬川徹夫/整音:瀬川徹夫/音響効果:倉橋静夫/記録:桜木光子/装飾:吉田敬太/メイク:葉山三紀子 須藤裕美/スタイリスト:片山彰乃/スチール:星野麻美/制作主任:齋藤鋼児、越智喜明/助監督:桑原昌英、日垣一博、杉山泰一/後援:鹿追町・鹿追町議会・鹿追町教育委員会・ 鹿追町商工会・JA鹿追町帯広市・帯広教育委員会・北海道・北海道教育委員会 · 北海道新聞帯広支社 · 十勝毎日新聞社/特別協賛:鹿追町DAIZOU FARM 高橋酒造 ネオプロセス 中道リース ユニバーサルビジョン  十勝毎日新聞/協賛:よつ葉乳業  六花亭  まつもと薬局  第一熱原/協力:映画「おしゃべりな写真館」ささえ隊/製作・制作プロダクション:和ら美/配給:シネメディア 2024年/日本/カラー/DCP/120分/シネマスコープ/5.1ch/公式HP:https://syashinkan.warabifilm.co.jp/

©和ら美

映画『おしゃべりな写真館』は10月11日(金)より新宿ピカデリー他にて全国公開

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