娘を殺された元夫婦と、犯行時に未成年だった加害者の女性。癒やしようのない苦しみに囚われた3人の葛藤を見すえ、魂の救済、赦しという深遠なテーマに真っ向から挑んだ問題作『赦し』が 3 月 18 日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開となる。
<Introduction>
本作は、前作『コントラ』(19)では、エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリ、北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツで第1回大林賞を受賞した日本在住のインド人気鋭監督アンシュル・チョウハンの最新作。これまでの作風を一変させ、重厚でリアリスティックな語り口に挑んだ本格的な裁判劇となっている。法廷における裁判官、弁護士、検察官、証人、それぞれの立場から意見をぶつけ合い、攻防を繰り広げるスリリングな展開、そして、不安、迷い、痛みを抱えた登場人物たちに扮した俳優たちの鬼気迫る演技が観る者を釘付けにする。
怒りと憎悪の呪縛に囚われた主人公・克を演じるのは、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサと組んだ主演作『義足のボクサーGENSAN PUNCH』が記憶に新しい尚玄。元妻の澄子に扮するのは、第 62 回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した『台風家族』『ひとよ』などで多彩なキャラクターを演じてきたMEGUMI。深い喪失感を共有しながら、対照的なベクトルで裁判の成り行きを見つめる元夫婦の複雑な思いを表現した。さらに、澄子の現在の夫を演じるオリエンタルラジオの藤森慎吾、裁判長役を毅然と体現した真矢ミキがドラマに厚みを与える。そして、夏奈役に抜擢された松浦りょうのキャスティングも見逃せない。映画デビュー作「渇き。」などで独特の存在感を示してきた新進女優が、本作における最大の発見としてあらゆる観客を驚嘆させるだろう。
<Story>
7年前に高校生だった娘の恵未をクラスメートに殺害されて以来、酒に依存して現実逃避を重ねてきた樋口克のもとに、裁判所からの通知が届く。懲役 20 年の刑に服している加害者、福田夏奈に再審の機会が与えられたというのだ。大切なひとり娘の命を奪った夏奈を憎み続けている克は、元妻の澄子とともに法廷に赴く。しかし夏奈の釈放を阻止するために証言台に立つ克と、つらい過去に見切りをつけたい澄子の感情はすれ違っていく。やがて法廷では夏奈の口から彼女が殺人に至ったショッキングな動機が明かされ、澄子は裁判から身を退くが、殺意に駆られた克はある行動を起こすのだった……。
<Staff&Cast>
監督・編集:アンシュル・チョウハン/撮影:ピーター・モエン・ジェンセン/音楽:香田悠真/出演:尚玄、MEGUMI、松浦りょう、生津徹、藤森慎吾、真矢ミキ/プロデューサー:山下貴裕、茂木美那、アンシュル・チョウハン/エグゼクティブ・プロデューサー:サイモン・クロウランカスター文江/アソシエイト・プロデューサー:前田けゑ、澤繁実、岡田真一、木川良弘/脚本:ランド・コルター/助成:文化庁/製作プロダクション:KOWATANDA FILMS、YAMAN FILMS/配給:彩プロ/2022 年/日本/日本語/カラー/2:1/5.1ch/98 分/原題(英語題):DECEMBER/公式サイト:https://yurushi-movie.com/
3月18日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
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