第72回サン・セバスティアン映画祭 脚本賞&助演俳優賞受賞!『焼け石に水』『8人の女たち』 『スイミング・プール』などで知られるフランス映画の名匠フランソワ・オゾンの最新作『秋が来るとき』(5/30より公開中)は、彼が幼少の時に毎年訪れていた自然豊かな仏ブルゴーニュが舞台に繰り広げる濃密な人間ドラマ。物語は当時の思い出から着想を得ているということだが、オゾン監督は子供時代、大人の複雑な人生模様をどのような視点で観察・分析していたのだろうか。

80歳の主人公ミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)は、自然豊かな田舎で一人暮らし。休暇で訪れる孫と会うことに心躍らせ、家庭菜園で採れた野菜でスープを作り、デザートは自作のケーキ。そして秋の気配が色づく森の中を親友とおしゃべりしながら散歩する。そんな穏やかでささやかな生活を守り抜くため、最終章を迎えた人生を自分らしく生き抜くため、彼女は人には言えないある“過去の秘密”を受け入れることにするが…


美しいブルゴーニュの景観の中、80歳のミシェルが後ろめたい過去を抱えつつも人生の終盤を生き抜く強さ、そして親友をお互いに信じ合う絆と愛情を繊細に、時にドラマティックに描き出す。さらにサスペンス的な要素も垣間見える本作は、ハラハラさせながらも最後は癒しをもたらす初期のオゾン監督の作風を彷彿させ、成熟した大人たち、映画ファンたちに静かな感動をもたらすことだろう。


<Staff & Cast> 監督・脚本:フランソワ・オゾン/共同脚本:フィリップ・ピアッツォ/出演:エレーヌ・ヴァンサン、ジョジアーヌ・バラスコ、リュディヴィーヌ・サニエ、ピエール・ロタン/2024年|フランス|フランス語|103分|ビスタ|カラー|5.1ch | 日本語字幕:丸山垂穂|原題:Quand vient l’automne|配給:ロングライド、マーチ

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