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MAY 08, 2024 劇場公開作

オノ・ヨーコと何が?ジョン・レノンと18ヵ月を過ごした女性メイ・パンが自ら語る「失われた週末」の真実

ジョン・レノン ファンにとって、「失われた週末」は有名な話。ジョンの不埒(ふらち)な行動にブチ切れたオノ・ヨーコが、彼を家から追い出し、当時2人のプロダクション・アシスタントだったメイ・パンに押し付けた…という筋書きがなんとなく一般的だと思っていた。たとえジョンが酒の勢いで浮気に走っても、たとえメイ・パンと長きにわたって時を過ごしても、心はオノ・ヨーコががっちりと握っている…母性に飢えていた芸術家気質のジョンを子守できるのは、後にも先にもヨーコしかいない…そう思っていた、5月10日(金)公開のドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 失われた週末』を観るまでは。これは、メイ・パン自身が初めて明かす、ジョンと過ごした18ヵ月の独白だ。

ジョン・レノンとメイ・パン

ザ・ビートルズのメンバーとして今でも人々の記憶に残り続けるジョン・レノン。1980年12月8日に40歳の若さで凶弾に倒れるまで、二人目の妻、日本生まれのオノ・ヨーコと長きにわたって人生を共にした。相思相愛、ラヴ&ピース…そんなイメージが一人歩きするジョンとヨーコだが、1973年秋から18カ月もの間、別居状態に。原因は、精神不安定なジョンの暴飲と度重なる浮気だ。いわゆるこの期間は「失われた週末(The Lost Weekend)」と呼ばれているが、あくまでもヨーコから見たジョンの状態を表す一方的な表現であるところが、引っかかるといえば引っかかる。ジョンの全てはヨーコの掌の上…本当にそうだったのだろうか?

このころジョンは、エルトン・ジョンやデヴィッド・ボウイなど名だたるアーティストとのコラボレーションを行い、元ビートルズのポール・マッカートニーやリンゴ・スターとも交流を持っている。さらに前妻のシンシア、長男のジュリアンともメイ・パンを通して頻繫に会う機会が設けられ、「失われた」 という言葉とは裏腹にビートルズの解散後、ソロキャリアの中で、音楽的にも、私生活的にも、最も平和で活動的な時期となっている。今回のドキュメンタリーでは、ゴシップ扱いされていたこの期間について、メイ・パン本人が口を開き、真実をひも解いていく。

「あの時期のことは誰も知らない。だから真実を伝え、誤解を正したいと思う。私の物語は私が書く」…これは本作に寄せたメイ・パン自身の言葉である。

1969年、ロックンロールに夢中だった19歳のメイはビートルズが設立した英国の会社アップル・コアをマネージメントしていたアラン・クラインが米国で運営するアブコ・レコードに入社、念願の音楽業界へ足を踏み入れる。翌年、プロダクション・アシスタントになったメイは、ジョンとヨーコの前衛映画撮影で彼らと初対面する。その後、映画や『イマジン』のPV制作など、その仕事ぶりを評価され、ジョンとヨーコの専属の個人秘書に指名された。

1973年、ジョンに暗雲が立ち込める。泥沼化したベトナム戦争反対運動のシンボルとなっていたジョンは、当時のニクソン政権の命を受けたFBIの監視対象者にされる。しかもグリーンカードをめぐってアメリカとの訴訟も続いていた。政治的な圧力によって音楽活動もままならない。精神的に追いつめられたジョンは酒と浮気に走ってしまう。

悩めるオノ・ヨーコ

ジョンの行動に頭を悩ませていたヨーコは、当時22歳のメイに「ジョンとうまくいってないの。きっとまた浮気する。だから彼と付き合って。あなたのような人が必要よ」と告げる。思わぬヨーコの発言に困惑したメイだったが、「ニューヨークを出よう、メイ。2人きりでヨーコから遠くへ」と誘ってくれたジョンが自分のことを特別な存在だと想っていることを知り、2人はロサンゼルスへと旅立つ。こうして「失われた週末」は始まったのだった。

メイが相手なら、ジョンは程なく自分の元に帰ってくる。そう信じたヨーコの提案で始まった逃避行のようなロマンスは、18カ月にも及ぶ愛の日々に変わっていった。「失われた週末」と呼ばれる期間、奇しくもジョンは音楽活動を一気に充実させていく。1973年の『マインド・ゲームス』、エルトン・ジョンを迎えてソロとして初の全米シングルチャート1位を獲得した『真夜中を突っ走れ』を収録した名アルバム『心の壁、愛の橋』(74)、名曲をカヴァーした『ロックン・ロール』(75)を続々とリリース。

愛を育んだジョンとメイ

また、ジョンのプライベートでもメイ・パンは大きな役割を果たしている。ファンの間では不仲説が囁かれたポール・マッカートニーとの再会、長らく疎遠になっていた愛息ジュリアン・レノンとの特別な時の訪れなど、もはや、ヨーコという壁がない世界で、ジョンは本来の姿を取り戻したかのように素直に生き始める。このままメイ・パンと違う人生を歩み始めていたら…いろんな思いが去来する衝撃のドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 失われた週末』、本人の気持ちはどこにあったのか…心根を察することはできないが、これを観ずしてジョン・レノンは語れない。

<Staff&Cast> 監督:イヴ・ブランドスタイン、リチャード・カウフマン、スチュアート・サミュエルズ/出演:メイ・パン、ジョン・レノン、ジュリアン・レノン、ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン/2022年/アメリカ/英語/94分/カラー/1.85:1/5.1ch原題:The Lost Weekend:A Love Story/字幕:松浦美奈/字幕監修:藤本国彦/配給:ミモザフィルムズ/公式サイト:https://mimosafilms.com/lostweekend/

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ドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 失われた週末』5月10日(金)より角川シネマ有楽町、シネクイント、新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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