中国のベストセラー作家紫金陳(ズー・ジェンチン)の代表作の一つである小説『坏小孩』(The Gone Child)を原作とした映画『ゴールド・ボーイ』(公開中)が好評だ。2020年、中国の動画サイトiQIYI(アイチーイー)の人気サスペンスシリーズ『迷霧劇場』の海外戦略作品としていち早くドラマ化され、現在までに総再生回数20億回越えを記録するなど、中国では社会的大ヒットに成長した作品の日本版だが、観る者を釘付けにする美しき犯罪者・岡田将生と悪童たちとの頭脳戦が映画ファンを熱狂させている。
つい先日、宮藤官九郎脚本の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系、金曜午後10時)で令和のイケメン美容師を爽やかに演じ、昭和のツッパリ女子高生・純子(河合優実)をメロメロにしたばかりの岡田だが、本作ではその真逆をいく冷酷非情なワルを見事に演じている。ただ、2つの作品に共通して存在しているのが、岡田にしか出せない造形と佇まいの“美しさ”。その唯一無二の美しさを保ちながら、善人、悪人、演じる立ち位置やキャラクターによって色を変え、観る側の感情を揺さぶってくるからタチが悪い(素晴らしい!という意味で)。本作はまさに“悪の華”、美しいほどに冷酷さが際立つ岡田のアプローチは、映画にそこはかとなく凄味を与え、彼に向かってくる悪童たちを幾度となく震え上がらせる。
ところがこの頭脳戦、一筋縄ではいかない。物語の鍵を握る悪童・朝陽を演じる羽村仁成の不気味さが岡田に絡みつき、特に後半の攻防は瞬きさえも許さない。果たしてこの映画の“肝”は何なのか…原作小説翻訳版は『悪童たち』(上・下/早川書房)というタイトルらしいが、これもヒントといえようか?子供をなめんなよ…ぜひ、劇場で目撃していただきたい作品だ。
<Story> 東昇(岡田)が義理の両親を崖の上から突き落として殺害する凶行を偶然カメラに収めてしまった安室朝陽(羽村)、上間夏月(星乃あんな)、上間浩(前出燿志)の 3 人。「1,000 万はいける」…証拠映像をもとに東昇をゆすり大金を手に入れようと計画するが、東は「そんな金すぐには用意できない」と少年らの要求を拒否する。朝陽の「それっておじさんが入り婿だから?」と核心を突く発言に、東は彼らの挑戦を受けて立つ。
<Staff&Cast> 出演:岡田将生、黒木華、羽村仁成、星乃あんな、前出燿志、松井玲奈、北村一輝、江口洋介/企画︓許 曄/製作総指揮︓白 金(KING BAI) /監督︓金子修介/原作︓小説「坏小孩」(The Gone Child)by ズー・ジンチェン(紫金陳)/プロデューサー︓吉田多喜男、仲野潤一/脚本︓港 岳彦/音楽︓谷口尚久/撮影:柳島克己(J.S.C)/照明︓宗 賢次郎(J.S.L)/美術︓野々垣 聡/録音︓小松崎永行/アクション監督︓香純 恭/特機︓奥田 悟/音響効果︓柴崎憲治/編集︓洲﨑千恵子/助監督︓村上秀晃/キャスティングディレクター︓吉川威史/装飾︓山田好男/スタイリスト︓袴田知世枝/ヘアメイク︓本田真理子/スクリプター︓吉田久美子/製作担当︓間口 彰、大田康一/配給︓東京テアトル/チームジョイ/宣伝︓ブシロードムーブ /公式 公式サイト︓https://gold-boy.com
©2024『ゴールド・ボーイ』製作委員会