第76回カンヌ国際映画祭【ACID】部門に正式出品作品『逃げきれた夢』で、日本の映画・ドラマ界を支える名優・光石研と、女優として着実にキャリアを積み重ねている工藤遙が親子役で初共演。父と娘のリアルな会話を映し出す本編映像が公開された。本作は、12年ぶりに映画単独主演を果たした光石が、人生のターニングポイントを迎えた中年男・末永周平に扮し、自身の地元でもある北九州を舞台に可笑しくも切ない日常を描いたヒューマンドラマ。本年度カンヌ国際映画祭ACID部門の正式出品作品に選出され、公開前から大きな注目を集めている。
そしてこのたび、劇場公開に先駆け、親子役で共演した光石と工藤が繰り広げる会話シーンを解禁。娘の由真(工藤)とコミュニケーションを取ろうと必死に言葉を投げかける父・周平(光石)だが、まったく相手にされず、むしろ「どしたん、なんかあった?」と心配される始末。空回りしているその姿に全父親が共感必至の重要なシーンだ。 由真役を務める工藤は、モーニング娘。およびハロー!プロジェクトを卒業後、2018年より女優として活動を開始し、2020年には『のぼる小寺さん』で映画初主演、近年はドラマ『ダブル』(WOWOW)や『ロマンス暴風域』(MBS・TBS)、さらには2023年1月クールドラマ『ブラザー・トラップ』(TBS)に出演するなど、活躍の場を広げている注目の若手俳優の一人だ。
父親の突飛な問いかけに、ソファーに座りながら怪訝そうに返事をする由真の冷ややかな反応に、どこか居心地の悪い空気が漂いはじめるこのシーン、親子の複雑な関係が浮かび上がるまさに本作の名場面の一つ。周平の人間臭いリアルな可笑しさと切なさが見事に映し出されている。 役作りについて光石は、「娘がいないので、20代の娘との接し方が分からない。たぶん、(娘が)いてもわからない。だから“わからない”という風にして演じていいのではないかと思っていました」と本作の演技に自然体で挑んだ様子。対する工藤は、「私は普段、家族仲が良いので、由真を演じる時は自分の思い描く家族からひたすら引き算でした」と振り返っている。
<Story> 北九州で定時制高校の教頭を務める末永周平(光石)は、ある日、元教え子の南(吉本実憂)が働く定食屋で支払いをせず無言で立ち去ってしまう。記憶が薄れていく症状によって、これまでのように生きられなくなってしまったようだ。「待てよ、“これまで”って、そんなに素晴らしい日々だったか? 」。妻の彰子(坂井真紀)との仲は冷え切り、一人娘の由真(工藤)は、父親よりスマホ相手の方が楽しそうだ。旧友の石田(松重豊)との時間も、ちっとも大切にしていない。周平は「これから」のために「これまで」を見つめ直していくが…。
<Staff&Cast> 監督・脚本:二ノ宮隆太郎/出演:光石研、吉本実憂、工藤遥、杏花、岡本麗、光石禎弘、坂井真紀、松重豊/製作総指揮:木下直哉/プロデューサー:國實瑞惠、関友彦、鈴木徳至、谷川由希子/撮影:四宮秀俊/照明:高井大樹/録音:古谷正志/美術:福島奈央花/装飾:遠藤善人/衣装:宮本まさ江/ヘアメイク:吉村英里/編集:長瀬万里/音楽:曽我部恵一/助監督:平波亘/制作担当:飯塚香織/企画:鈍牛倶楽部/製作:木下グループ/配給:キノフィルムズ/制作プロダクション:コギトワークス/映倫G DCP/カラー/スタンダード/モノラル/96分 公式サイト:https://nigekiretayume.jp