『第1回 日本モンゴル映画祭』が2025年3月22日(土)~3月28日(金)まで、東京・新宿 K’s cinemaで開催される。
日本人の中には、モンゴルに対して「大草原と、そこで暮らす遊牧民の人々」というイメージを根強く持っている方も多いことだろう。だがモンゴルの現状は、それだけでは語れない。経済格差や政治問題が燻り続ける一方で、刺激的なカルチャーも首都ウランバートルを中心に日々生まれており、そこに生きる若者たちの“リアル”な一面を描いた作品など、多彩なテーマ・ジャンルの映画が数多く制作されている。

本映画祭では、「映画という人々の文化・生活を伝えるメディアを通じて、日本とモンゴルそれぞれで生きる観客・作り手の相互交流を橋渡しする」という目的のもと、多種多様なモンゴル映画を日本の映画館で一挙上映。大草原の雄大な風景と遊牧民の人々の心を美しく描いた作品はもちろん、我々日本人が抱くイメージだけでは語り尽くせない珠玉の作品も選出し、日本の観客にモンゴル映画の魅力の再認識、そして新たな魅力との出会いをもたらすラインナップが勢揃いした。
さらに映画祭の開催期間中には、監督・キャストをはじめ上映作品の関係者もモンゴルから招待し、トークショーなどのイベントも実施予定。日本の映画館という空間で、より深くモンゴル映画の魅力を楽しんでもらうための企画を展開していく。
◉全上映作品
【オープニング作品/ジャパン・プレミア】
『ハーヴェスト・ムーン』

第41回バンクーバー国際映画祭 ヴァンガード部門 観客賞【キャスト】アムラ・バルジンヤム、テヌーンエルデネ・ガラムハンド、ダムディン・ソブド、ダワーサンバ・シャラヴ、ツェレンダリザヴ・ダシニャム【スタッフ】監督:アムラ・バルジンヤム/脚本:アムラ・バルジンヤム、バヤルサイハン・バトスフ、T. ブムエルデン/プロデューサー:ウラン・サインビレグ/2022/モンゴル/90分/英題:Harvest Moon
【あらすじ】レストランで働く青年トルガは、草原で暮らす養父の体調が悪いという知らせを受け、すべてを捨てて故郷へ向かう。そして父親の死後も街には帰らず、父が行うはずだった収穫の仕事を自分がやると決めた。そこでトルガが出会った10歳の少年トントゥーレイは、シングルマザーの母親が街で働く間、祖父母とともに暮らしていた。年齢差を超えて、互いの心の内に秘めた感情に触れあううち、それぞれに新たな変化が芽生えて……。
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【ジャパン・プレミア】
『獄舎Z』

第24回高雄映画祭 正式出品【キャスト】プレブジャルガル・エルデネビレグ、ビルグーン・チュルーンドルジ 、バザラグチャー・ビャンバジャヴ、ビャンバスレン・ブムバヤル、ツェングーン・チンギス【スタッフ】監督:ビルグーン・チュルーンドルジ/脚本:プレブジャルガル・エルデネビレグ、ビルグーン・チュルーンドルジ、バザラグチャー・ビャンバジャヴ/プロデューサー:ツァルス・フーフディン・ズスラン、ハク・メディア、トレンド・アーティスト/2024/モンゴル/83分/英題:Z Zone
【あらすじ】更生のため、街から遠く離れた労働収容所に連れてこられた非行少年グループ。ここで厳しい罰を受けることになるかと思いきや、謎の闇の世界へ放りこまれ……。閉鎖空間で自由と生き残りを賭け、影に潜む邪悪な勢力と戦わなければならなくなった若者たち。刻々と残り時間は減り、山中どこへ行っても危険地帯だらけ! 果たして彼らは魔の手から逃れ、暗闇から光の中へ脱することができるのか!? 極寒のモンゴルを舞台にゾンビたちが暴れ出す。
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『シティ・オブ・ウインド』

ベネチア国際映画祭 オリゾンティ部門 最優秀男優賞/第96回アカデミー賞 国際長編映画賞 モンゴル代表/大阪アジアン映画祭 グランプリ(最優秀作品賞)【キャスト】テルゲル・ボルドエルデネ、ノミンエルデネ・アリウンビヤンバ 、アヌ・ウジン・ツェルマー 、ブルガン・チュルーンバト、ガンゾリグ・ツェツェゲー【スタッフ】監督・脚本:ラグワドォラム・プレブオチル/プロデューサー:カティア・ハザック、シャーロット・ヴィンセント/2023/フランス・モンゴル・ポルトガル・オランダ・ドイツ・カタール/103分/英題:City of Wind
【あらすじ】高校卒業を控えた17歳のゼは内気な青年。学校で勉学に励む一方、困っている人を助けるために儀礼を行うシャーマンの役目も果たしていた。そんな彼はある日、心臓に持病を抱える少女マララのために儀礼を行うことに。突然出会った二人は惹かれあい、やがて恋に落ちる。好奇心旺盛なマララに刺激を受け、色鮮やかに輝き出したかのようなゼの日常だったが、シャーマンとしての使命を背負う彼の心に新たな葛藤が生まれて……。
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【インターナショナル・プレミア】
『トレジャー・アイランド』

【キャスト】ナランムンフ・マグサルジャブ、フンツェングーン・バトトルガ、ツェレンボルド・ツェグミド、バトニャムブー・エンフタイヴァン、エネレル・トゥメン、ジャンチヴ・ガンゾリグ、エルヘムバヤル・ガンボルド【スタッフ】監督:ツェグメド・オルゴドル/脚本:アンフジャルガル・エンフタイヴァン/プロデューサー:ゾルザヤ・バトバヤル/2024/モンゴル/108分/英題:Treasure island
【作品概要・あらすじ】
物売りたちが集まる青空市場の他に行き場のない孤児のガルトだったが、ある日強盗団のメンバーに遭遇し、彼らから任務を言い渡されることになった。訪れた先で待ち受けていたのは、手を縛られ監禁されていた魅惑的な女性ウヤンガ。強気な彼女に手を差し伸べるうち、ガルトの人生は想像とは異なる方向へ進んでいくことに……。人の優しさと愛情、醜さと裏切り。モンゴル社会の両面性を描き、そこで翻弄されていく若者たちの物語。
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【ジャパン・プレミア】
『ホワイト・フラッグ』

アジアン・フィルム・フェスティバル・バルセロナ/ディスカバリーズ部門 スペシャル・メンション【キャスト】エルデネツェツェグ・エンフバヤル、オルトナサン・エルデネバヤル 、サンダンプレブ・オユンサンボー、ナラントール・タイヴァン【スタッフ】監督・脚本:バトバヤル・チョグサム/プロデューサー:安藤光造、バトバヤル・チョグサム、ダニエル・ハッサー/2023/モンゴル・日本・スイス/96分/英題:White Flag
【あらすじ】都会の刑事ゾリグは、行方不明の男性を探すため地方を訪れていた。その人物が最後に目撃された現場のそばで、彼は一つのゲルに暮らす二人の若い女性サランとナランと出会う。ゾリグは疑いを持ちつつ彼女たちに近づき、やがてサランと一線を越えてしまう。しかし彼女たちは姉妹ではなく、モンゴルではいまだタブー視されることもある同性愛の恋人関係だった。恋人とゾリグの仲を知ったナランは、感情を激しく乱してしまい……。
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『冬眠さえできれば』

カンヌ国際祭映画祭 「ある視点」部門 正式出品/第25回東京フィルメックス 審査員特別賞&観客賞【キャスト】バットツォージ・オールツァイフ、ノミンジグール・ツェンド、トゥグルドゥル・バトサイハン、バトマンダフ・バトチョローン、ガンチメグ・サンダグドルジ、バトサイハン・バトトルガ【スタッフ】監督・脚本:ゾルジャルガル・プレブダシ/プロデューサー:フレデリック・コルヴェ、マエバ・サビニエン、ゾルジャルガル・プレブダシ/2022/モンゴル・フランス・スイス・カタール/98分/英題:If Only I Could Hibernate
【あらすじ】
数学が大得意な高校生ウルジー。物理学コンクールで優勝し、進学のため奨学金の獲得を目指すも、母親が地方で働くと突然言い出し、幼い弟と妹とともに家に残されてしまう。厳しい冬を乗りきるためには暖房の燃料となる石炭を買うお金を稼がねばならず、闇の仕事に手を出したウルジーは、勉強どころでなくなって……。
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『ターコイズの空の下で』

第68回マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭/才能賞&FIPRESCI賞/第28回カメリマージュ国際映画祭ワールド・シネマ部門正式出品【キャスト】柳楽優弥、アムラ・バルジンヤム、麿赤兒、ツェツゲ・ビャンバ、サラントゥーヤ・サンブ【スタッフ】監督:KENTARO/脚本:アムラ・バルジンヤム、KENTARO/プロデューサー:木滝和幸、ウラン・サインビレグ、KENTARO/2020/日本・モンゴル・フランス/95分/英題:UNDER THE TURQUOISE SKY
【作品概要・あらすじ】
柳楽優弥演じる日本人の道楽息子タケシとワイルドなモンゴル人青年アムラが、あるきっかけでモンゴルの草原を共に旅することになる。タケシには、第二次世界大戦終了後にモンゴルで捕虜となった祖父が、現地で恋に落ちた女性との間に生まれた娘を探すというミッションがあったが……。ハリウッドにモンゴル史上初進出したアムラ・バルジンヤムが、日本映画界が誇る俳優、柳楽優弥とともにW主演を務めた日本モンゴルフランス合作作品。カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でモンゴルの長編映画として初めて上映され、モンゴルでも大きな支持を得た。美しい大草原を走りながら、道中でさまざまな人々やハプニングに遭遇し、言葉の壁を越えて青年二人が絆を深めていくコミカルなロードムービー。
主催:日本モンゴル映画祭実行委員会
共催:株式会社マグネタイズ
企画:株式会社NOMADZ
宣伝:株式会社ゆかし
特別協賛:株式会社エアトリ
協賛:株式会社グランマーブル
協力:東京フィルメックス、大阪アジアン映画祭、株式会社シンクイ、todoiF
後援:駐日モンゴル国大使館
公式HP:https://mongolianfilmfest.com/