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AUG 25, 2022 インタビュー

映画『とおいらいめい』大橋隆行監督インタビュー!人類滅亡を受けとめた人間の静けさ…「パニックムービーにしたくなかった」

演出する大橋隆行監督(右)

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022の国際長編部門に日本映画から唯一正式出品されている映画『とおいらいめい』。池袋シネマ・ロサでのレイトショー公開《8月27日(土)〜9月23日(金)》に先立ち、メガホンをとった大橋隆行監督(『かぞくあわせ』)のオフィシャルインタビューをお届けする。

本作は、ノストラダムスの大予言に沸く世紀末(1999年)と、彗星の衝突により人類の滅亡が数ヶ月後に迫った現在(2020年)の2つの「世界の終わり」を舞台に、バラバラだった異母3姉妹がゆっくりと家族になっていく姿を描く異色の人間ドラマ。トリプル主演を務めるのは、ロングランヒットを記録した映画『ベイビーわるきゅーれ』、ドラマ『生き残った6人によると』の髙石あかり、高視聴率ドラマ『半沢直樹』の吹越ともみ、フランスで話題になった日仏合作映画『MINORI』の田中美晴。

収まらぬコロナ禍、ウクライナへのロシア軍侵攻など、絶望感すら感じる2022年の今に奇しくもぴったりの題材だが、原作は、2004年上演の舞台。 当時主演を務めた『カメラを止めるな!』のしゅはまはるみ、舞台版の作・演出を担当し、本作の撮影監督を務めた長谷川朋史、映画『イソップの思うツボ』などに出演の藤田健彦が結成した自主映画制作ユニット「ルネシネマ」が、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 短編部門最優秀作品賞の受賞歴がある大橋監督を迎え、映画化を企画した。

<大橋隆行監督インタビュー>

ーー舞台劇でもあった本作を映画化するきっかけは何だったのでしょう。

大橋監督:この作品は2004年に上演された舞台が原作で、その作・演出をされていた長谷川(朋史)さんとはブライダルの仕事で一緒で、僕の作品を観てくださった長谷川さんが気に入ってくれて、もともとご自分の舞台を映画として残したいというご希望があったようで、「よかったら映画として作ってくれないか?」と言っていただいたのがきっかけです。

ーー演劇と変更した部分を教えてください。

大橋監督:もともとは双子の姉妹が迎える世界の終わり前夜の話だったんですけれど、それを3姉妹の話に置き換えたことと、原作ではメインの二人は明日世界が終わるということを知らないんですけれど、皆がそのことを知っている世界という設定にしました。

ーー「6年前から隕石が落ちて人類が滅びるということがわかっていた」という設定にした理由を教えてください。

大橋監督:いわゆるディザスタームービーやパニックムービーみたいなことはやりたくなかったです。良くも悪くも人って慣れていくというか、諦めがつくというか、落ち着いていくんだろうなと思うので、発表から2年位の間にパニックになってなんとなく現実として受け留めてどんどん静かになっていくのかなと思って、6年位と設定しました。

ーー三女・音役の髙石あかりさん、長女・絢音役の吹越ともみさん、次女・花音役の田中美晴さんを起用した理由をお教えください。

大橋監督:髙石さんに関しては、『とおいらいめい』の前作にあたるルネシネマの『かぞくあわせ』という作品のマスコミ向けの試写に当時の担当マネージャーさんが連れて来てくれた時に、年齢と本人の落ち着きのギャップがすごく面白いなと感じて、すごく気になる人として頭の中に残っていて、脚本を書いていく段階で、髙石さんを末っ子として置いて話を展開していったら面白いなと思って、髙石さんが決まりました。

髙石あかり

それからしばらくして、絢音と花音を決めるオーディションをさせていただいて、たくさんの方に来ていただいた中で、お二人の持っている雰囲気が僕がこれまで作ってきた作品のテイストにマッチするような直感を得たのと、お二人の印象が絢音と花音に合うと思いお願いしました。

吹越ともみ
田中美晴

ーークランクイン前に姉妹役の3人に何かお話はしましたか?

大橋監督:絢音と花音さんのお母さんが亡くなって、(継母の)早苗さんが来るにあたって、お姉ちゃんはどういう感情だったかだとか、それによって家の中のバランスが崩れて、花音はさっさと家を出て行ったみたいな話はした記憶があります。

ーー3人と実際にご一緒してみていかがでしたか?

大橋監督:3人が揃ってお芝居をした時に、皆色合いがバラバラだったので、3人がそこにいてお芝居をしているだけで、現場で楽しく見れていました。いい3人が揃ってくれたなと感じます。

ーー人類滅亡の映画でありながら、日常生活を描いている本作で、唯一SF感があった“シェルター”のシーンが秀逸でした。何かこだわりがあったのでしょうか?

大橋監督:あそこがちゃんとそういう場所に見えてくれないと、他の部分も全部崩れちゃうと思ったので、関東をあちこちネットで調べて実際に行ってみて、撮影のしやすさだとか、行ってみた時の雰囲気が良いロケ地に決めました。

ーーSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022で日本映画で唯一国際コンペティション部門に選ばれていかがでしたか?

大橋監督:シンプルに嬉しいなというのはありましたけど、国内コンペティションでなく国際コンペティションに入ったことで、スタッフの数も一桁違うでしょうし、制作費もまた違うであろう作品と並んで上映されるというプレッシャーと、「よしやってやった」という喜びとがごっちゃになった複雑な感じがありました。

ーー本作の一番の見どころはどこだと思いますか?

大橋監督:シンプルに3姉妹だと思っています。とてもいい3人の俳優さんですし、3人にお任せしたシーンも結構あるので、それぞれの魅力が伝わったらいいなと思っています。

ーー最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

大橋監督:まずは3姉妹を演じた3人の俳優さんの魅力を味わって欲しいなというのと、瀬戸内海の美しい風景がテレビとかスマホで見ても伝わらないと思うので、ぜひ劇場の大きなスクリーンで見て欲しいです。

日本劇場公開:2022年8月27日(土)〜9月23日(金)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開

公式サイト: runecinema.com/tooiraimei/

©ルネシネマ

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