SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022の国際長編部門に日本映画から唯一正式出品されている映画『とおいらいめい』。池袋シネマ・ロサでの4週間レイトショー公開《8月27日(土)〜9月23日(金)》に先立ち、3人姉妹の次女・花音を演じた女優・田中美晴(『MINORI』)のオフィシャルインタビューをお届けする。
本作は、ノストラダムスの大予言に沸く世紀末(1999年)と、彗星の衝突により人類の滅亡が数ヶ月後に迫った現在(2020年)の2つの「世界の終わり」を舞台に、ばらばらだった3姉妹がゆっくりと家族になっていく姿を描く異色の人間ドラマ。
収まらぬコロナ禍、ウクライナへのロシア軍侵攻など、絶望感すら感じる2022年の今に奇しくもぴったりの題材だが、原作は、2004年上演の舞台。 当時主演を務めた『カメラを止めるな!』のしゅはまはるみ、舞台版の作・演出を担当し、本作の撮影監督を務めた長谷川朋史、映画『イソップの思うツボ』などに出演の藤田健彦が結成した自主映画制作ユニット「ルネシネマ」が、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 短編部門最優秀作品賞の受賞歴がある大橋隆行監督を迎え、映画化を企画した。
田中は、妻とうまくいっていない小学校の同級生・良平と再会し、心揺れる次女・花音役を好演。また、彗星衝突に備えたシェルターの個室設計を担当するが、強奪の危険と隣り合わせの日々を送る長女・絢音役に吹越ともみ、そして、父の死をきっかけに腹違いの姉2人と初めて共同生活をすることになり、戸惑う三女・音役に『ベイビーわるきゅーれ』で初主演し、ドラマ『生き残った6人によると」にレギュラー出演中の髙石あかりが抜擢された。
ーー脚本を読んだ時の感想を教えてください。
田中:こんなにも優しい、ゆったりとした世界の終わりを見たことがなかったので、最初読んだ時は衝撃を受けました。どちらかというと一つの家族にスポットが当てられていて、大橋監督がきっと優しい方なんだろうなと脚本を読んで思っていました。
ーー田中さんご自身はご兄弟はいますか?
田中:私が本当に三姉妹の次女なんです。なので、花音には共感するところがいっぱいあって、「わかる!」と思って演じていました。
ーー演じた花音をどのような人物だと捉えましたか?
田中:花音は姉妹のことが大好きで必要としているけれど、表面には出したくないようなキャラクターだと思って、根っこでは愛を持ちつつ、表面では適当にしようと心がけていました。
ーー大橋監督からは撮影前などに何かお話はありましたか?
田中:花音は基本的にふらふらぷらぷら歩いているようなイメージだよと言われました。
ーー監督のこだわりを感じたことはありますか?
田中:大橋監督はすごく優しい印象の方なんですけれど、撮影時に、(「OK!」でなく)「概ねOK」という言葉が出るんです。この「概ねOK」は、イコール「もう一回撮りましょう」ということで、結構自由にやらせてくださるけれど、監督の中の理想だったりこだわりがあるんだろうなと思いました。
ーー長女・絢音役の吹越ともみさんと、三女・音役の髙石あかりさんと共演していかがでしたか?
田中:お二人が本当にそれぞれ別の可愛さを持っていて、すごくチャーミングな方たちだったので、姉妹になれてうれしかったです。「お芝居をしていた」というよりは、「共同生活をしていた」という感覚に近かったです。
ーー完成した映画をご覧になった感想はいかがでしたか?
田中:想像していた以上にゆったりと、3姉妹を始め色んな人たちのことを半分ドキュメンタリーかのように追いかけているような作品だなと思って、終わった時には寂しいというか、このまま続いて欲しいなという感想を持ちました。
ーー本作の見どころはどこだと思いますか?
田中:私は、こんなにゆったり優しい世界の終わりの物語を見たことがなかったので、そこが魅力だと思います。
<田中美晴 /次女・花音役>
1992年生まれ、2005年デビュー。2019年に制作された、日仏合作ショートムービー『MINORI』にて、ミノリ役で出演し、フランスで話題に。現在出演中のCMは「京成スカイライナー」「三菱電機」「小林製薬・クロキュア」「小林製薬・キュアレア」。今年から来年にかけて公開予定の映画が2本控えている。
日本劇場公開:2022年8月27日(土)〜9月23日(金)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開
公式サイト: runecinema.com/tooiraimei/©ルネシネマ