
第38回東京国際映画祭にて、アリ・アスター監督最新作『エディントンへようこそ』(12月12日公開)のジャパンプレミアを行った翌日、「Dover Street Market Ginza」(東京都中央区銀座)にてトークイベントを開催。アリ・アスター監督が登壇し、MCや観客とのQ&Aを実施した。
暴⼒、陰謀論、SNSの暴⾛…コロナ禍でロックダウンされた⼩さな町の選挙戦が全⽶を巻き込む⼤事件に!本作は、『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』『ボーはおそれている』に続きA24製作で放つアリ・アスター監督渾身の異色サスペンス。ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラーら豪華演技派俳優が町の存亡を巡って火花を散らす。

<Story> 物語の舞台は2020年、ニューメキシコ州の⼩さな町・エディントン。コロナ禍で町はロックダウンされ、息苦しい隔離⽣活の中、住⺠たちの不満と不安は爆発⼨前。保安官ジョー(ホアキン・フェニックス)は、IT企業誘致で町を“救おう”とする野⼼家の市⻑テッド(ペドロ・パスカル)と“マスクをするしない”の⼩競り合いから対⽴し「俺が市⻑になる︕」と突如、市⻑選に⽴候補する。ジョーとテッドの諍いの⽕は周囲に広がっていき、SNSはフェイクニュースと憎悪で⼤炎上。同じ頃、ジョーの妻ルイーズ(エマ・ストーン)は、カルト集団の教祖ヴァーノン(オースティン・バトラー)の扇動動画に⼼を奪われ、陰謀論にハマっていく。

以下、トークイベントをダイジェストでご紹介
●評価の「二極化」は成功の証し
アメリカでは7月、カンヌでは5月に上映された本作。「反応は真っ二つ。でもそれが狙いでした。登場人物たちは互いに相手の話を聞かずに声高に叫び会話が噛み合わない。そうしている間にもっと大きな問題が襲い掛かってくる。まるでSNSのタイムラインをそのまま映したようなカオス——それこそが現代の縮図」だと、アリ・アスター監督はニヤリ。
・混沌を描くことが私の挑戦
『ヘレディタリー/継承』の恐怖、『ミッドサマー』の悪夢、『ボーはおそれている』の不安。アリ・アスター監督の作品はしばしば“カオス”と表現される。「なぜあなたの映画にはカオスが映るのか?」という問いには、「混沌を描くこと、むしろそれが挑戦でした」と回答。Instagramの無限スクロール、Xの炎上。日常に溢れるカオスを、スリラー、陰謀論、ブラックコメディとして魅せながら、物語は誰もが想像しない結末にたどり着くアリ・アスター・ワールドについて、「観客が求める“安心”を拒否する。それが私のスタイルです」と強調した。

・恐怖、絶望が「ひとりじゃない」ことを教えてくれる
「現代の風刺でもあるのに、笑えることで共感が生まれた」という感想に、「芸術には2種類あります。答えを出すか、現実を映すか。『エディントンへようこそ』は後者です」と答えたアリ・アスター監督。「ニュースが速すぎて消化できない。希望が見えないのは当然」と本作に現代人が共感することに同意しつつ、「この映画が意味を持つなら、時代の“病的”な精神を映していること。恐怖や孤独を共有することで、『ひとりじゃない』と思えるかもしれません」と語った。
<Staff & Cast> 監督・脚本︓アリ・アスター/出演︓ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラー、ルーク・グライムス、ディードル・オコンネル、マイケル・ウォード/配給︓ハピネットファントム・スタジオ/原題︓EDDINGTON|2025年|アメリカ映画|PG12|148分 © 2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.













