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DEC 20, 2024 インタビューおすすめ

福田雄一監督、映画版『聖☆おにいさん』の爆笑MVPは岩田剛典!「面白過ぎて尺を倍にした」

イエス役の松山ケンイチ×ブッダ役の染谷将太を軸に超豪華キャストが大集結!大人気ギャグ漫画の原作者・中村光が自ら映画のために描き上げたエピソードを福田雄一監督が実写化した最新作『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』がいよいよ12月20日(金)より公開される。「勇者ヨシヒコシリーズ」以来、涙なし、感動なし、着地点なし?のギャグ映画で今年を締めくくる福田監督に、映画化実現への道のりや、スター俳優が魅せた新たな可能性について話を聞いた。

演出中の福田雄一監督

<Story> 世紀末を無事乗り越えた神の子イエス(松山)と仏の悟りを開いたブッダ(染谷)は、日本の四季を感じながら、東京・立川にある風呂なし6畳一間のアパートで二人暮らしを始めていた。アイスを分け合ったり、近所の商店街で福引きを楽しんだり、 お笑いコンビ「パンチとロン毛」を結成したり、ゆる〜い日常を過ごしていたそんなある日、天界からの使者が現れ、“禁断のオファー”が伝えられる。やがてそれは、神も仏も天使も悪魔も入り乱れる地球滅亡の危機へと繋がっていく。

●プロデューサー山田孝之の手腕が奇跡を巻き起こす

――そもそもの話になりますが、福田監督はこの原作漫画のどんなところに惹かれたのでしょうか?

福田監督:僕が初めて監督したオリジナルビデオ「THE 3名様」(2005~10 年/2022年以降、森谷雄監督のもと実写映画シリーズ、配信ドラマとして復活)は、原作漫画を実写化した作品で、主演の佐藤隆太くん、塚本高史くん、岡田義徳くんがファミレスでただ食べているだけのドラマなんですが、これが幸運なことにかなり売れたんですよ。そのときにプロデューサーから、「ちょっと似たテイストのゆる~い笑いの原作があるんだけど、読んでみて」と言って渡されたのが、『聖☆おにいさん』だったんです。ところが、内容があまりにもショッキングすぎて…最初は尻込みしてしまいました。

6畳一間のアパートで暮らすイエス(松山ケンイチ)とブッダ(染谷将太)

――どの辺りがショッキングだったのですか?

福田監督:イエスとブッダがこんなふざけたことをやっていて大問題にならないのかなと。ただ、内容がすごく斬新で面白かったので、プロデューサーには、「もしこれを実写化できるのであれば、ぜひやりたいです」と返事をしたんです。ところが、当時、製作幹事をしていた会社の親会社のほうからNGが出てしまい…。まぁ、当たり前ですよね、内容が内容だけに。それがかれこれ15年以上前の話なんですが、僕の中では諦めていた企画だったんです。

――ところが、時を経て企画が動いた…

福田監督:そうなんです。ショッキングな内容なのに漫画の連載は続いていて、なぜあれが許されるのか不思議に思っていたんですが、何年か前のある日、山田(孝之)くんから突然LINEが来て、『聖☆おにいさん』の実写ドラマの監督をやってくれないかと頼まれたんです。「一度断られたことがあるけど大丈夫?」と聞いたら、「大丈夫です」と。なんでも、山田くんが中村先生と仲が良くて、しかも「勇者ヨシヒコシリーズ」(2011、2012、2016)の大ファンらしく、僕が監督するなら「ぜひ実写化をお願いしたい。山田さんと福田さんのコンビなら間違いない」と言ってくれたらしいんです。

――ドラマ化も紆余曲折あり、かなりの挑戦でもあったのに、今度はなんと映画化。ほぼ6畳一間で日常生活を弾き語るほっこり系ギャグ漫画を大スクリーンで展開しようという無謀な企画が持ち上がった経緯を教えてください。

福田監督:ドラマの方も好評で、なんとなく映画化の話も前々から出ていたんですが、僕も山田くんも、さすがにそれは無理だと思っていたんです。。宗教問題が深く絡んだ漫画なので、僕が安易に手を出すわけにはいかないし、なにせ原作が1話完結の短編漫画。どううまく繋げても映画には絶対ならない。唯一、方法があるとすれば、中村先生に映画用に長編漫画を描いてもらうしかないわけです。それをダメもとでご本人に知らせたら、なんとこころよく描いてくださることになって…。そこから一気に動き出したという感じですね。

●涙も感動も着地点もない、ギャグ一辺倒という真骨頂

――そして、ついに今回 “奇跡の映画化”を果たしたわけですが、福田監督の視点から、最大の見どころを教えてください。 巨大ロボットが出てきたり、激しいライブアクションもあったり、豪華キャストの扮装も楽しめました。

福田監督:一番の見どころは、近代映画で稀にみる「ギャグ一辺倒の映画」という点です。 基本的に、笑いあり、涙ありで、着地点あり、の映画じゃないとなかなか撮らせてもらえないんですが、最初から最後までくだらない笑いに徹している本作をよく東宝さんが受け入れてくださったなと。とても嬉しいことですが、いまだにそこが謎なんです(笑)

インタビュー中も陽気な福田監督

――確かに、ここ最近の福田作品、笑いだけでなく着地点はありましたね。

福田監督:僕の記憶では、感動とか涙とか一切なし、ギャグ一辺倒の作品は、それこそ「勇者ヨシヒコシリーズ」以来なんですよね。ギャグ満載の映画『斉木楠雄のΨ難』でさえ、最後はちゃんと山﨑賢人くんと橋本環奈ちゃんのラブに落とし込んでいるので、着地点はしっかり用意してあるわけです。だから、久々に僕の真骨頂というか、ただひたすら腹を抱えて笑っていただければ本望です。

――そのギャグを体現して魅せるのが超豪華俳優陣。特に主役の松山さんと染谷さんは、軸としての役割が大きいと思いますが、二人のどんなところに魅力を感じて起用したのですか?

福田監督:役者としてのポテンシャルは全く別物だと思いますが、最初から二人は相性がよかったですね。松山くんも、染谷くんも、以前から大ファンだったんですが、この手の役をやっているのを観たことがなかったので、「果たして、どこまでできるだろうか…」と若干不安を抱えながらスタートしたんですが、やっぱりこの二人、さすがだなと思いました。役がイエスとブッダですよ、正解がわからないし、どう役作りするんだ?って話だと思うんですが、そこにいたのは紛れもなく僕が求めていたイエスとブッダだったんです。

原作者自ら映画のために描き上げた壮大な!?物語

――福田監督の想像を遥かに超えていたと…

福田監督:二人とも、基本的に台本から決して逸脱しないんですが、ものすごくいい味付けをしてくれるんですよ。福田組では、台本から外れて、アドリブで勝負してくる役者さんがわりと多いので、そこが一番新鮮でしたね。イエスやブッダが「それ言っちゃダメでしょ!」っていうことを言ってしまうところがこの作品の面白さの根源だと思うんですが、そこを絶妙に面白く演じてくれるので、なんだか怒る気にもならないところがうまいというか、プロフェッショナルだなと思いました。

アドリブなしで笑わせる松山&染谷

――主演のお二人を盛り上げる共演者たちも、福田組ならではの振りきり方で楽しませてくれました。全員の印象を聞いていたら時間が足りないので、福田監督が一番笑った俳優、本作のMVPを挙げていただけますか?

福田監督:それはもう岩ちゃん(岩田剛典)ですね!福田組は3作目で、映画『新解釈・三國志』ではイケメン武将役、配信ドラマ『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』では王子様役だったんですが、毎回ボケることなく演じていたので、「僕はなんで福田組に呼ばれるんだろう…」と悩んでいたらしいんです。「自分の武器はいったい何なのか?」…どんどん自分思い詰めていくうちに、「もうこれしかない!」と思ったのか、段取りの時に急に踊り始めたんです。何も聞いていなかったのでびっくりしました。ただ、それがめちゃくちゃ面白かったので、本番は2倍の尺を使って思いっきり弾けてもらいました。松山くんと染谷くんは、何も言わず、ただひたすら笑って観ていましたね(笑)

賀来賢人、勝地涼もビックリ?このあと岩田剛典が壊れます?!

――そういえば、イベントの舞台挨拶の時に、「この映画を観終わったあとも、僕のファンでいてください!」と訴えていましたね。そういう真逆の振りきり方でいえば、白石麻衣さんもすごかったです。

福田監督:白石さんは、今回初めてだったんですが、面白かったですね。撮影に入る前に、「とりあえず最大限に大きな声で喋ってください」とだけ伝えてあったんですが、本番で目をひんむいて怒っていたからすごく新鮮でした。「元乃木坂46のトップアイドルがここまでやりきってくれるんだ!」と思ったら嬉しくなって、 僕の次作映画『アンダーニンジャ』にもお声がけさせていただきました。

●福田組に集まる役者の共通点、それは「遊び心」

――それにしても福田組は、毎回豪華キャストのオンパレード。それぞれが新境地に挑んでいますが、今回も藤原竜也さん、神木隆之介さんなど、新たなビッグネームが参戦し、ほかの組が嫉妬するくらい贅沢な布陣でした。なぜ、こんなにスター俳優たちが集まってくるのでしょう。

福田監督:僕が想像するに、役者さんの間で、「福田組は自由にやらせてもらえるらしいぞ」という話が回っているんだと思います。中には、「とにかく役を深く掘り下げて演じたい」「自由になんてやりたくない」という役者さんもいるわけで、そういう人は福田組には絶対に来ません。普段は真摯に役に取り組んでいても、たまには弾けてみたい、思いっきり振りきってみたい…そんな遊び心を持った役者さんが来てくれるんだと思います。藤原くんも、神木くんも、まさか僕の映画に出てくれるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです。

福田組初参戦の神木隆之介と常連・仲野太賀

――観客目線から言わせていただくと、藤原さんも神木さんも、福田組なら喜んで参加してくれそうな雰囲気、前々からありましたよ。

福田監督:そうみたいですね。藤原くんに関しては、かなり前から小栗旬くんに、「竜也が福田組の映画に出たら絶対に面白いから」と言われていたんですが、僕もプロデューサーも勝手なイメージで「無理だ」と決めつけていたんです。ところが今回の堕天使ルシファー役を思いきってお願いしてみたら、すんなり快諾してくれましたし、神木くんにいたっては、「菅田(将暉)くんとか、僕の周りの人はみんな呼ばれているのに、なんで僕だけ呼ばれないの?」と言っていたくらいですからね。

――ラストを藤原さんにおまかせしたのは、正解だったような気がします。

福田監督:念願が叶ったという感じでしたね。最後を飾るショッキングのシーンだったので、あの役を藤原くんにやっていただいて本当に良かったと思っています。

9分間ボケまくる戦いの仙人(佐藤二朗)

――うーん、何となく、美しい感じでインタビューを終わらせたかったのですが…1点、どうしても気になることが。戦いの仙人を演じた佐藤二朗さん、あのお戯れはなぜあんなに尺が長かったのですか?

福田監督:あはは!やっぱり気になっちゃいます?あのシーン、9分もあるんですよ(笑)。「もう連載なんてどうでもいいんですよ!」と松山くんが言い放つので、「それを聞いて驚いた仙人は変な踊りをしてください」とだけ伝えたんですが、踊った時点で二朗さん、セリフが全部飛んじゃって、パニックになって収拾がつかなくなったんです。そんなタイミングの時に音声さんの腕がブルブル震えているガンマイクがどんどん下がってきちゃって、「このまま待っていたら奇跡が起きるかも!」と思って、延々待っていたら最後の最後に奇跡が起きました。二朗さんとムロ(ツヨシ)くんは、「どれだけ笑いをとれるか」で、いつも真剣に張り合っているんですが、今回は二朗さんに軍配が上がったようですね。

(取材・文・写真:坂田正樹)

<Staff & Cast> 出演:松山ケンイチ、染谷将太、賀来賢人、岩田剛典、勝地涼 / 仲野太賀、神木隆之介、白石麻衣 / 山本美月、桜井日奈子 / 川口春奈、中田青渚、吉柳咲良、田中美久、森日菜美、安斉星来 / 田口浩正、新山千春、間宮啓行、池田鉄洋、山田孝之 ムロツヨシ、佐藤二朗、窪田正孝、藤原竜也 ■プロデューサー:北島直明、松橋真三、鈴木大造、山田孝之■製作:映画『聖☆おにいさん』製作委員会■制作プロダクション:クレデウス■配給:東宝■公式サイト:http://saint023movie.jp/

©中村光/講談社 ©2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

映画ル『聖☆おにいさん▲THE▲MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』は12月20日(金)より全国公開

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