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DEC 25, 2022 劇場公開作

あの日の謎が解けた…映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』 で明かされる真実に涙が止まらない

伝説の歌姫ホイットニー・ヒューストン没後10年、 『ボヘミアン・ラプソディ』で脚光を浴びた名脚本家ケイシー・レモンズがメガホンをとった映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』がついに日本劇場公開された。歌うことに命を燃やした栄光と挫折の半生を、 数々のNo.1ヒットソングとともに臨場感たっぷりに描き切った本作に絶賛の声が鳴り止まない。楽曲の素晴らしさもさることながら、ホイットニー役をオーディションで勝ち取ったナオミ・アッキー(「このサイテーな世界の終わり」)の憑依的パフォーマンスが素晴らしく、観客を映画の世界へ、さらにホイットニーの内面へと引き込んでいく。

ホイットニーを演じたナオミ・アッキー

当時アリスタ・レコードの社⻑だったプロデューサー、クライヴ・デイヴィスが、⺟親の合唱団で歌うホイットニーの圧倒的才能に魅せられスカウトする伝説的シーンから始まる本作。彼⼥はいかにしてスターダムを駆け上がり、人々を熱狂させた“グレイテストソング”はいかにして⽣まれたのか?ジャンルも⼈種も超え、「歌いたい曲を⾃分らしく歌う」ことに命を燃やしたその先に、彼⼥は何を⾒たのか?才能はあるが夫としては疑問符が残るボビー・ブラウンとの結婚、ホイットニーが稼いだ金を浪費する強欲な父親との確執、そして次第に近づく薬やアルコール依存の足音など…“陰”の部分もしっかり見据え、ホイットニーの心の変化を克明に描いている点が、ファンにとってはたまらない部分ではあるが、同時に彼女の苦悩を考えると、有り余る才能が呼び込んでしまった不幸の数々を恨めしく思ってしまう。

ホイットニーがどんどんビッグになるに連れ、本人の苦悩も顧みず、喉の持久力ギリギリのワールドツアーが組まれるが、ここから転落への道を歩んでいく。記憶違いでなければ、筆者が最初で最後、ホイットニーを観たのは、1993年の「Whitney Live In Japan」の武道館ライブ。9月の暑い日に空調は切られ(ホイットニーは喉に悪い空調が嫌い)、開演が1時間遅れ、挙句の果てにはようやく幕が開いたステージも1時間足らずで終わってしまった。その日はすこぶる体調が悪く、相当不機嫌だったらしいが、(最後はちょっと申し訳ないと思ったのか…)夫のボビーと娘のクリスティーナを連れてステージに上がり、カーテンコールに応えていた。当時は1万円ほどのチケットを電話にしがみついてようやくつかんだだけに、かなり腹も立ったが、本作を観て、その謎が30年を経ってようやく解けたような気がした。あれがホイットニーにとっては精一杯だったんだと…

彼女の人生は波乱に満ちていたが、その歌声は本当に天使のようだった。「Saving All My Love For You」はいわずもがな、映画『ボディガード』は平凡だったがドリー・パートンから受け継いだ「I Will Always Love You」を初めて聞いた時は、完全に心を打ちのめされた。アレサ・フランクリンのように、おばあちゃんになっても、時に力強く、時に切なく、魂を揺さぶる歌を歌い続けてほしかったなと、本作を観ながら郷愁に浸る…いなくなってしまったからこそ愛おしい彼女の歌声が、ナオミ・アッキーの奇跡のパフォーマンスを介してスクリーンに蘇る。(坂田正樹)

<Staff&Cast>

監督:ケイシー・レモンズ/脚本:アンソニー・マクカーテン/出演:ナオミ・アッキー、スタンリー・トゥッチ、アシュトン・サンダース/上映時間:2時間24分/PG-12

2022年12月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中!

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