登場人物それぞれの視線を通した“怪物”探しの果てに、われわれは何を思い、何を見るのか……その結末に心揺さぶられる感動のヒューマンドラマ『怪物』が6月2日(土)よりいよいよ劇場公開される。是枝裕和監督最新作となる本作は、先日開催された第76回カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門の公式上映後には9分半ものスタンディングオベーションで称えられ、さらに授賞式では、シナリオを担当した坂元裕二が脚本賞受賞の栄誉に輝き、独立部門「クィア・パルム賞」と合わせて2冠を達成した。
今回解禁された映像は、物語の核を担う二人の少年、麦野湊(黒川想矢/くろかわそうや)と星川依里(柊木陽太/ひいらぎひなた)の日常を捉えた本編の一部。道の途中に咲いている花の名前を唱えながら歩く依里に「お母さんが、男の子は花の名前知らない方がモテるって」と湊が言い放つ。そんな湊の発言を気にも留めない様子で、依里は躊躇せず暗いトンネルに入っていく。対して、トンネルの手前で思わず立ち止まる湊。余裕そうにうなり笛を鳴らしながら「暗いの怖がる男はモテないよ」と依里に言われると、トンネルで待つ依里に駆け寄る様子が描かれる。スマホのライトを頼りに暗いトンネルを抜けた先にあったのは廃線跡、廃車となった電車の車両が横たわっていた。絶好の秘密基地を手に入れた二人は、小学5年生らしく無邪気に楽しむ。
オーディションで是枝監督が見出したこの二人だが、それぞれドラマを中心に作品への出演経験はあるものの映画に出演するのは本作が初めて。是枝監督は二人の瑞々しい演技について「黒川くんは非常に繊細で、役柄への感情的なアプローチから入るタイプ。一方の柊木くんは、頭の中で写真を撮るようにして台詞を覚えるらしく、状況が変わっても同じようにお芝居ができる。全然違うタイプの二人でしたが、うまい組み合わせになりましたね」と子役ながら演技へのアプローチ方法が異なることを明かした。また、「現場では、二人がお互いをどう捉えているのか、それが自然に出るような環境作りだけを考えました、二人が上手だったので」と続け、若き才能を大絶賛している。
安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら変幻自在な演技で観る者を圧倒する実力派もさることながら、是枝監督も認めた黒川想矢、柊木陽太の瑞々しくかつ情感豊かに演じる若手の活躍にも注目してみたい。
物語の舞台は、大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きた。それは、よくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に大人や社会、メディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちが忽然と姿を消す…。
本作は、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドールに輝いた是枝監督と、『花束みたいな恋をした』「大豆田とわ子と三人の元夫」などで圧倒的な人気を博す脚本家・坂元裕二、そして音楽には、『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞🄬作曲賞を受賞し、『レヴェナント:蘇えりし者』や『怒り』など国内外を問わず第一線で活躍した坂本龍一という、映画史上、最も心を躍らせ揺さぶる奇跡のコラボレーションで紡がれる感動作。
<スタッフ&キャスト> 出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子/監督・編集:是枝裕和/脚本:坂元裕二/音楽:坂本龍一/企画・プロデュース:川村元気、山田兼司/製作:東宝、ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.、分福/配給:配給:東宝 、ギャガ 公式サイト:https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/